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Discover 2016 Las Vegas レポート(中編) ~ 新しいテクノロジー・新しい製品発表
こんにちは、テクノロジーエバンジェリストの小川大地です。
昨今の IT ベンダーは、新製品や開発中のテクノロジーを自社の年次イベント内で集中的に発表するのが潮流です。Hewlett Packard Enterprise (HPE) も、前回 よりご紹介している最大のイベント Discover で様々な新製品を発表しています。
今回は Discover でアナウンスされた新製品や大型アップデートについて、いくつか取り上げてみます。
統合インフラ
今回の Discover では Digital Disruption という言葉が繰り返し使われたことは 前回の記事 でご紹介しましたが、サーバー・ストレージ・ネットワーク・クラウドといった各製品事業のアナウンスの中で、繰り返し登場したキーワードが HPE OneView です。
今回発表した HPE OneView 3.0 の詳細は別の機会に詳しく解説したいと思いますが、前述のとおり HPE インフラ製品の「標準ツール」として、今後はより一層重要な役割を担います。これに伴い、今回も幅広い点で強化されています。
OneView は一般的には管理ツールにカテゴライズされるかと思いますが、もはや GUI だけの話ではありません。間もなくリリースされる HPE のコンポーザブルインフラストラクチャ HPE Synergy では、GUI よりもむしろ API として裏方を担います。
監視や設定管理ツールとしても使われますが、そのようなメンテナンスだけではなく「ハードウェアとソフトウェアの同時通訳さん」として、運用中も大活躍します。
サーバー
ProLiant や Superdome など「サーバーの HPE」と揶揄されるくらい、サーバー製品は新生 HPE を代表するプロダクトです。Discover の展示会場では写真のちょっと変わった小型サーバーが注目を浴びていました。
これは、IoT やエッジコンピューティング向けサーバー HPE Edgeline IoT Systems の新モデル HPE Edgeline EL1000(手前)と HPE Edgeline EL4000(奥側)です。
防塵はもちろん、1U タイプの EL4000 も含めて 壁掛け が可能で、IoT のエッジデバイス向けに設計されているために、Wireless LAN (Wi-Fi) はもちろん、3G や 4G / LTE といった Wireless WAN(携帯回線)にも対応しています。
興味深いのが、CPU やメモリなどのコンピュート機能は HPE Moonshot Systems のカートリッジ を挿して使われることです。Moonshot はカートリッジごとに SoC (System-on-a-Chip) が異なるため、CPU や GPU・メモリ搭載量はもちろんのこと、システムボード(マザーボード)から柔軟にエッジコンピューティングマシンを仕立てあげることができます。
どこにでも設置する IoT のエッジデバイスに消費電力の問題は欠かせません。Moonshot カートリッジを用いて多様にカスタマイズできる EL1000 / EL4000 はとても効果的で面白いと思います。
今回の Discover では、ハードウェアだけでなく、IoT 全般について HPE の取り組みが基調講演で大きく紹介されました。この辺りの詳細については 次回 専門のエバンジェリストから詳しく紹介いたします。
ストレージ
ストレージ事業部門の発表では、最初に No.1 というスライドが大きく掲げられました。
これは、数日前に発表された IDC の最新の調査レポートにおいて、HPE が 総合ストレージ部門でマーケットシェア世界第1位 になったというものです。従来、このポジションにはストレージ専業ベンダーが常勝していたわけで、ストレージ業界に大きな変革が訪れています。
この「変革」と勢いを支えているのは HDD → SSD 化、つまりオールフラッシュであることは間違いなさそうです。Discover では シェア No.1 の勢いをそのままに、1 個あたり約 8 TB ・ 15 TB といった超大容量 SSD と、それを搭載した HPE 3PAR StoreServ が発表されました(6/16 国内発売済み)。
ディスク 1 個あたり 15TB。これは HDD でも成しえなかった容量です。従来「性能が欲しい時の SSD」だったわけですが、今後は「容量が欲しい時も SSD」の時代になります。
そして忘れてはいけないのが「価格」。
HDD の採用理由には容量単価があるわけですが、SSD はその有り余るパワーから、重複排除や圧縮格納といった容量削減技術を Tier1 ストレージ上でインラインに利用できます。つまり、オールフラッシュストレージは、同じ物理容量でもよりたくさんのデータを収容できるため、価格(容量単価)の面でも HDD に引けを取りません。
ネットワーク
こちらも、展示会場で多数の注目を浴びていた新しいテクノロジーを取り上げましょう。昨今話題の「25Gbps Ethernet」です。
写真は HPE FlexFabric 5950 Switch という 1U スイッチ(6/30 国内発売済み)。32 個のポートが見えますが、これらはすべて QSFP28 いう新規格で、データセンターで現在主流の 10G Ethernet の 10 倍の 100Gbps の帯域を持っています。
そしてこの QSFP28 ポート、写真の左上にある片側が4又に分かれた「Break-out ケーブル」を用いることで、100Gbps × 1 ポート を 25Gbps × 4 ポートとして利用可能です。
つまり、この 100Gbps × 32 ポートスイッチで4又ケーブルを用いると、1U サイズにもかかわらず 最大 25Gbps × 128 ポートスイッチ になります。日本での定価は 650 万円。25Gbps で使えば 1 ポートあたり 5 万円になりますので、現在主流の 10Gbps スイッチと同価格以下になります。
もちろん、スイッチだけ 25Gbps に対応していても、サーバーに搭載する NIC が無ければ役に立ちません。このスイッチに合わせて、HPE ProLiant サーバーでは 25Gbps 対応 NIC が販売開始されました。
クラウドソフトウェア
HPE Helion のブランド名で知られるクラウドソフトウェア製品事業から3つの新製品が発表されました。
HPE Helion Stackato 4 は、HPE との協業を発表した Docker にも対応した CloudFoundry ベース PaaS を提供するソフトウェア。昨年カナダの ActiveState 社から買収し、今回初めて HPE Helion ブランドとしてリリースします。
HPE Helion CloudSystem 10 は、OpenStack をベースとしながら、プライベートクラウドだけではなくハイブリッドクラウドやエンタープライズポータルも実現できるパッケージです。OpenStack は難しいという一般のお客様でも効率的に運用できる様々な仕組みが組み込まれています。今回発表されたバージョン 10 では、OpenStack Liberty リリースを採用するなど各種モジュールが刷新されました。
また、高度なプライベートクラウド環境を円滑に構築・運用していくための新しいソフトウェアスイートとして HPE Helion Cloud Suite が発表されました。これはHPE の多彩なソフトウェア製品群の中から、プライベートクラウドの運用に適した選りすぐりのソフトウェアをパッケージングしたものです。規模に応じた3つのエディションで提供するとアナウンスされています。
今回ご紹介したのは全体の一部です。
グローバルの総合 IT ベンダーというだけあり、他にもまだまだ新しい発表が行われましたが書き尽くせません。お使いの HPE 製品で新しい発表があったか知りたい方は、ぜひ HPE の担当営業・販売店様にお問い合わせください。
次回は、IoT ソリューションや HPE 研究所が開発中の The Machine など、担当エバンジェリストからご紹介いたします。
※ 本稿は米国での発表内容・展示内容を記事にしたものであり、執筆時点では国内未発表・未販売の製品も含まれます。
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