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Yoji_Inoue

2020年のインフラ (1) イ ンフラは3Dプリンターで作れるか?

 

printer.jpeg  最近3Dプリンターで製造するスニーカービジネスの記事を読みました。いわゆるスマートファクトリーです。そのタイトルから、カスタマイズが容易、製造が短時間で可能、フルカスタムでもコストは変わらず、といった印象を持っていた私は、読み進めていくうちにもっと興味深い点に気が付きました。実は3Dプリンターの導入によって、製造工程だけではなくサプライチェーンも劇的に変化することがわかったのです。常に人件費の安い製造場所を場所を探し、サプライチェーンを綿密に考えて、数年たっても利益が出る場所を探す!そんな時代は終わりを迎えるのかもしれません。

 

 

伝統工芸から100均時代に ITもスマートファクトリー化

potter-1139047__340.jpg コンピューターが世の中で汎用的に使われ始めた時代からつい最近まで、ITインフラはいわばアートの世界でした。それぞれの分野の技術を持った職人たちが長い時間をかけて構築、テスト、そして長期の運用。もちろん高額なシステムなのでサポートの人員も費用も潤沢。そんな時代から今のITインフラは100円均一のようになってきたのではないでしょうか? そこそこのものが低価格で大量に手に入る、コストも安いので時代の流行に合わせて買い替えればよい。でも「もったいない」が美徳の我々日本人からしたら、この大量消費、大量廃棄のコンセプトは受け入れがたいものがあります。

 では前述のスニーカーの例と同じく3Dプリンタで作るようにITインフラができたら、大量生産して在庫を抱えるリスクもないですよね。最小のロットだけ製造して、売れたらオンデマンドで追加する。それが今日求められているITインフラなのではないでしょうか? そのコンセプトをHPEではコンポーザブル・インフラストラクチャーと呼んでいます。ではどれだけ似ているかスマートファクトリーと比較してみましょう。 

Composable-smartfactory.jpg

  

3Dプリンターよりも優れているコンポーザブル 

  lego-674880__340.jpg 3Dプリンターによるカスタム品の製造は、足形、材料、デザイン等の「素材」から好みのものを選択して1つのテンプレートを作成することで可能です。後はその設計図(テンプレート)を元に3Dプリンターが勝手に製造してくれます。同様にITインフラもサーバー、ストレージ、ネットワーク、OS等の素材と設計図があれば何でも作れるはずですね。つまり上記のコンポーザブルインフラストラクチャーはそれをスマートファクトリーならぬスマートデータセンターで実現するものです。
 ただし、コンポーザブルフラストラクチャーは3Dプリンターよりも優れている点があります。3Dプリンターで一度製造したスニーカーは、ユーザーの足のサイズが大きくなったらもう履けません。また違うデザインの靴、アウトドア用にもっとソールの厚い靴がほしいとしたら、また一から作成しなおさなければいけません。以前履いていたサイズの合わないスニーカーはもう履くことはないでしょう。一方コンポーザブルインフラストラクチャーは違います。いらなくなったITリソース(素材)を「流動的リソースプール」溶かして戻し、再利用することが可能です。(以前のBlog参照)

 

 場所の制約からの解放

 3Dプリンターによる製造はサプライチェーンも劇的に変えてしまいます。原材料さえあればどこでも製造できるため、従来のようにパーツごとに異なる工場で製造することもなく、それらのパーツの輸送も必要ありません。原材料と最終組み立て地だけあればよいのです。コンポーザブルインフラストラクチャーの場合は「原材料」(ITリソース)は事前に多めにデータセンター内にプールされています。その中から必要な「原材料」だけを抽出して組み立てます。スピードも3Dプリンターよりも早く、数分で完了します。リソースをプールすることで、無駄な輸送コストも輸送にかかる時間も削減できます。さらにHPEでは、フレキシブル・キャパシティという従量課金サービスがあります。クラウドと同じ「使ったら使っただけ」支払うことができるだけでなく、使わないサーバー、ストレージ、ネットワークも事前にデータセンター内においてくれるサービスです。いわばITインフラの「富山の薬売り」モデルで、このサービスにより急な需要にも即座に対応、新しい材料をデータセンターに輸送する必要もありません。

 さて、前述のようにコンポーザブルインフラストラクチャーは「組み立てのスピードが3Dプリンターよりも早い」と言いましたが、それが何お役に立つのか?と思われた方もいらっしゃるでしょう。欲しいときに欲しいだけITリソースが使いたい、そういった要求に応えるのはもちろんですが、使い方によっては、今までよりさらに効率よくITリソースを利用することもできます。 そのヒントは、メインフレーム時代に使われてきた「タイムシェアリング」という考え方です。次回はなぜ今「タイムシェアリング」なのかについて解説してみたいと思います。

  

関連リンク

Gartner Hype Cycle for I&O Automation, 2017 から見えてくる次にくるものは?
http://ow.ly/7cOQ30goZ5m

Gartner Hype Cycle for I&O Automation, 2017 から見えてくる次にくるものは? - 2 -
http://ow.ly/SmiG30goWgL

HPEハイブリッドITソリューション
https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/transform-hybrid.html

HPEコンポーザブル・インフラストラクチャ
https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/infrastructure/composable-infrastructure.html

HPE Synergy
https://www.hpe.com/jp/ja/integrated-systems/synergy.html#Resources

HPE フレキシブルキャパシティ (従量課金サービス)
https://www.hpe.com/jp/ja/services/flexible-capacity.html

 

 

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作者について

Yoji_Inoue

Technology Evangelist, Composable Infrastructure, Software Defined Data Center and Cloud Technology Architect, Hyper Converged, Storage, Memory centric-Data driven computing, Specialist