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ogawad

VMware vSAN の新しいカタチ ~ 「コンポーザブル HCI」

こんにちは、テクノロジーエバンジェリストの小川大地です。

本ブログでは、これまでエバンジェリスト数人より HPE 最大の戦略製品であり、世界初のコンポーザブル・インフラでもある「HPE Synergy」についてご紹介してきました。

コンポーザブル(Composable)は「自由に組立可能な」を意味します。今回、組み立てられるソリューションがまた 1 つが増えました。それは、我々 HPE のグローバルアライアンスパートナーである VMware 社の戦略製品――――。私も 前回記事 にした HCI ソフトウェア「VMware vSAN」です。

今回は HPE と VMware の戦略製品同士を組み合わせた、新しいハイパーコンバージドソリューションの魅力をご紹介していきたいと思います。

参考

 

「コンポーザブル HCI」

「コンポーザブル HCI」って、聞いたことありますか?

コンポーザブル HCI は、コンポーザブル・インフラ製品を利用した HCI の 1 つの進化形です。HPE ではなく、VMware 社が名付けてくれました。VMware 社のサイトで詳細を知ることができます

 

図: 出典 VMware 「Traditional HCI versus Composable HCI」図: 出典 VMware 「Traditional HCI versus Composable HCI」
 

 

コンポーザブル HCI が生まれた背景

HCI を採用する際、最近現場で良く言われているのが「筐体サイズ」です。HCI ではコンパクトな 2U/4N サーバーが象徴的ですが、何も考えずにこのコンパクトサイズのサーバーを導入してしまい、失敗してしまう企業が後を絶ちません。
2U4N サーバーの例。元々は HPC クラスタ用のサーバーとして開発された。2U4N サーバーの例。元々は HPC クラスタ用のサーバーとして開発された。

  • 1U 型サーバー ・・・ 2 CPU、24 DIMMs、ディスク 10 本まで
  • 2U 型サーバー ・・・ 2 CPU、24 DIMMs、ディスク 24 本まで
  • 2U/4N 型ブレード筐体 ・・・ 2 CPU、16 DIMMs、ディスク 6 本まで


なぜ 2U/4N サーバーが問題かというと、ノードあたり 6 本しかディスクが積めないことから、運用を開始して1年もすると、ストレージ不足に悩まされてしまうのです。

みなさんは過去に、ストレージの「ディスク(玉)だけ増設」「ディスクシャーシ(シェルフ)だけ増設」をしたことはありませんか? データ容量爆発時代というのは、正直私はあまり実感無いのですが、運用に入るとなぜかストレージ容量が不足する ”IT インフラあるある” は良く目にします。

HCI の課題の 1 つは 従来型の SAN ストレージより簡単にストレージ容量を増やせない ことです。
もちろん、HCI なので増設ノードを買えば容量は増えますし、ツールも用意されているので作業も簡単です。

HCI ノードを増設すると、ディスクだけでなく CPU やメモリ・10G ネットワーク、保守費用まで増えるHCI ノードを増設すると、ディスクだけでなく CPU やメモリ・10G ネットワーク、保守費用まで増える

では何が課題かというと 実施まで準備 です。具体的には「お金」「調整作業」

サーバーを 1 台増設するだけですが、HCI は普通のサーバーと比べて高価です。サーバーを増やせば保守費用も上がりますし、ソフトウェアライセンスも追加で払うことになるでしょう。また、増設ノードのためにネットワークを準備しなくてはなりません。IPアドレスも払い出しはもちろんのこと、10G スイッチに空きポートが無かったりすると、スイッチ増設も必要になります。

「ストレージ増設向けノード」といったものもありますが、課題を少し緩和する程度で根本解決には程遠い・・・。

  

コンポーザブル HCI のメリット

これに対し、コンポーザブル HCI は「ストレージのみの増設」を可能にします。

IP アドレスや追加の 10G ポートは要りませんし、考える必要すらありません。サーバーのディスクベイにディスクを継ぎ足すだけです。

では、ディスクベイが全部埋まってしまったらどうしましょう?

答えは「従来どおり」です。従来型ストレージのようにシェルフを増設するだけ。繰り返しますがサーバー増設ではありません。シェルフだけであれば追加のネットワーク配線は必要は無いわけです。

「ディスクのみ増設」ができれば、増設に掛かる費用は各種調整は最低限で済む「ディスクのみ増設」ができれば、増設に掛かる費用は各種調整は最低限で済む

「DAS ストレージを足す」のはインフラエンジニアとしては至極シンプルなアプローチです。しかしながら、HCI では SCSI ID など技術的な課題があり、DAS を足すことのは意外にも困難でした。

ストレージ容量が足りないのであれば、ディスクを足せば良いーーー。

一見当たり前のことながら、なかなか実現できなかったことが今回 VMware と HPE の技術協業で実現できるようになったわけです。お客様にとっては、面倒な調整ごとが無くなりますし、「いざとなったらディスクだけ買えば良い」という安心感は何よりの魅力になります。

コンポーザブル HCI は、HCI 特有の縛りを無くし、リソースをいつでも自由に組み合わせられるコンポーザブル HCI は、HCI 特有の縛りを無くし、リソースをいつでも自由に組み合わせられる

  

vSAN サポートを開始した HPE Synergy。コンポーザブル HCI も対応

HPE におけるコンポーザブル・インフラは「HPE Synergy」。業界初のコンポーザブル・インフラ製品でもあります。この HPE Synergy ですが、先日より Ready Nodes も含めた VMware vSAN の認定を受け、ソリューションとして正式サポートを開始しました。「D3940 ストレージモジュール」を利用することでコンポーザブル HCI も実現可能です。

VMware vSAN Ready Nodes: SY480 (1) SY480 (2) SY480 (3) SY660

このストレージモジュールは、DAS 型の外付けストレージでありながらディスクをプール化します。

「コンポーザブル HCI」を実現する HPE Synergy D3940 ストレージモジュール「コンポーザブル HCI」を実現する HPE Synergy D3940 ストレージモジュール

収容されている各ディスク 1 本 1 本を「こっちは Server #1」「こっちの SSD は Server #2」といったように好きに割り振れるのです。vSAN の搭載上限である「1 サーバー 40 ディスク」なんてのもお手のもの。技術的にはには vSAN ノードのディスクベイを VMware 上限の40 個まで好きに増やせる感じです。

ディスクベイの数はノード毎に違ってもOK。もちろん、ディスクの装填・交換はホットスワップです。 サーバーへのディスクベイ割当ては柔軟に構成可能(Composable)サーバーへのディスクベイ割当ては柔軟に構成可能(Composable)

 先日、あるパートナーの SE の方より次の質問をいただきました。

「ディスク容量が増えるということは、ストレージのトラフィックも増えるのでは?」

――――― はい、でも大丈夫です。

HPE Synergy の DAS ストレージはノンブロッキングアーキテクチャーです。1 筐体あたり 200 万 IOPS をカバーし、各サーバーは 50,000 IOPS を超える SSD の性能をボトルネック無しでフルに受け取ることができます。この辺りはオールフラッシュ時代に登場した最新サーバーの強みです。

200 万 IOPS をボトルネック無しでサーバーに届ける HPE Synergy の Non-Blocking Architecture200 万 IOPS をボトルネック無しでサーバーに届ける HPE Synergy の Non-Blocking Architecture


もちろん、ネットワークトラフィックも安心です。

HPE Synergy は 10Gbps の倍の 20G Ethernet に標準対応しています。10G ポートを増設するよりもコスト安ですし、サーバーと DAS ストレージ・ネットワークを一体化した効率的な筐体ですので、これらを個別購入して vSAN を構成するよりも安価になります(一般的な構成の場合)

 

HPE ならサポートも安心です

HPE Synergy はオールフラッシュ時代・ソフトウェアデファインド時代のサーバーなのですが、普通のサーバーからかけ離れた、難しい機器に感じてしまったかもしれません。

安心してください。最新のハードウェアの性能を上限までフルに使えるように、新しい規格と技術で設計されているだけで、紐解いていけば実は単なる「x86 サーバー+DAS ストレージ」です。

もし、運用中の何らかのトラブルがあったとしても、HPE のサポート窓口であれば HPE Synergy も VMware はもちろん、vSAN や NSX、VDI(Horizon)に至るまで全てワンストップでサポート可能です。

「ワンストップサポート」って本当にラクですよ。特別な費用は発生しませんし、お客様側で原因切り分けをしなくて済むなど、非常に好評です。

 

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作者について

ogawad

サーバーカテゴリのエバンジェリストです。 ハードウェアメーカーとしてのHPEの情報を不定期にお伝えします。