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ジェットエンジンで知恵熱をブッ飛ばす ~HPサーバーに初めて恋した

shingoyamanaka

ハードウェアオタクのエバンジェリスト山中です。

明日は東京、雪の予報が出ており、本当に寒いですね。

 

今日のお題は、本当はもっと暑い時期に書くと実感を感じられたかもしれません。

 

さて、前回までは、現在のサーバーの知恵熱がどれだけスゴいものかを解説いたしました。

今回から、ではどうやって電話ボックスの中の6本のヒーターの熱を冷やすのかをお話したいと思います。

 

 

時は今から約10年ほど前です。

 

HPのサーバーの多くは、アメリカのテキサス州、ヒューストンで多くのモデルが開発されています。

その当時は、まだコンピューターの処理速度も遅く、サーバーの発熱量もそんなにひどくはありませんでした。

 

 

しかし、ヒューストンのエンジニア達は、この先数年で、発熱量はヒドいものになり、サーバーの安定稼働を妨げる大きな問題になると予想をしていました。

 

そこで彼らは、将来の高性能化による発熱増加を見据えて、それを冷やせる能力を持った冷却ファンを、全世界を飛び回り探していました。

 

現在でもそうですが、サーバー開発ベンダーは、一般的には必要な能力に合った冷却ファンを冷却ファン専用メーカーから購入することが一般的です。

 

 

しかし、その結論は・・・そんな夢のような冷却ファンはその当時、世の中に存在しなかったのです。

 

そして、ある日、彼らは、ある世界的冷却ファンメーカーに、冷却ファンを一緒に新開発しないか、とお願いに行ったのです。非常に運がよかったのですが、私もその場に立ち会うことが出来たのです。

 

 

会議が始まりました。こちら側からは、こんな冷却ファンを作りたいんだ、という説明を行いました。

そして、それを聞いた先方の最初の一言は、

 

「こんなもの出来る訳がない!」

 

 

確かにその通りでした。

 

 

当時の一般的な冷却ファンの回転速度は1分間に7000回転から8000回転ほど。

当時のコンピューターの発熱量からして、この程度で十分だったのです。

しかし、HPの希望は1分間に2万回転!

これはハードディスクの円盤よりも早いのです。

 

しかも、サーバーはパソコンと異なり、24時間動き続けます。よって、非常に長い製品寿命も求められるわけです。

 

 

そんな形でとりあえず開発が始まったのですが、その数年後、出来ない!と言っていた製品が出来上がったのです!

 

 

 

実は、この出来上がった冷却ファン、当時のコンピューターの発熱量からすると、正直、かなり持て余し気味の性能だったのです。

 

でもそこには理由がありました。この冷却ファンは、HPのブレードサーバーの新型機に搭載されるものだったのです。

 

ブレードサーバーの場合、エンクロージャーと呼ばれる箱に、好きなCPUを搭載したブレードを差し込んで利用します。

その当時販売しているブレードはそんなに発熱量はありませんでした。

 

しかし、将来的に処理性能が向上したブレードが登場し、お客様がそれをすでに持っているエンクロージャーに差し込むと、冷却能力不足で冷やせなくなる可能性があったのです。

 

 

そこで、お客様が箱を買い直ししなくても良いように、できるだけ長く使っていただけるように、当時としてはかなり余剰性能の冷却ファンを独自開発したのです。

 

こんな冷却ファン如き、買って来れば安く済むのに、、箱も買いなおしてもらえば済むのに、、真剣にお金をかけて開発するなんて・・・これが私のHPサーバーへの愛が芽生えたきっかけでした。

 

 

その冷却ファンが、こちらです。

fan.jpg

 

まさにジェットエンジンのようなファン!

 

こんな形で、HP BladeSystemの背面に搭載されています。

 

c7000encSwitches2_378.jpg

 

 

 

では、このジェットエンジンファン、どれくらいの性能なのか・・・

このブレードサーバーが発表されたのが今から約9年前の2006年。

その当時の製品発表会でのデモンストレーションのビデオが残っていました。

 

 

(私も微妙に若くて痩せております・・・)

 

リハーサルを行っていた社内マシンルームが、スモークマシンの煙で火災報知器が鳴る寸前で、大変なことになっていたことを昨日のように思い出します。

 

HPのヒューストンの開発ラボには、当時冷却ファン開発が大好きでしょうがない、いわゆる「冷却ファンオタク」が多数在籍しており、彼らはこの冷却ファンの成功を非常に喜んでいました。

 

その一つの表れが、新開発した冷却ファンを使ったこのラジコン・・・

 

fan_car.JPG

 

冷却ファンを語り始めると、彼らは本当に話が止まらない。このスゴさを伝えたい。愛が本当に伝わってくるようでした。

 

 

 

さて、時は流れて今は2015年。

 

昨年10月に発表した、最新のブレードサーバー、HP ProLiant BL460c Gen9。最新のCPUを積んでいて、発熱量も2006年当時よりもかなり増えています。

 

しかし、今でも楽々と、2006年に開発された冷却ファンを使っているエンクロージャーで利用可能です。

 

 

 

そして、昨年12月に発表し人気を博している、Superdome X。

その背面を見てみると・・・

 

 

SD-X_back.jpg

 

 

はい、同じものを使っています。当時のエンジニアの先見の明に、脱帽です。発熱量的にはまだまだ余裕があります。

 

お客様のシステムをどうしたら安定稼働させられるか

お客様の投資をどれだけ保護できるか

  

そのためには、冷却ファンにも手を抜かない。

製品を愛してやまないエンジニア達はこれらを一生懸命考えて開発をしています。

 

テクノロジーとそれを支えるエンジニア。これがHPの最大の強みと感じています。

 

長文最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

作者について

shingoyamanaka

2003年よりHP BladeSystem, HP Superdomeの日本でのプロダクトマネージャーを務めた後、2012年から4年間、日本を含めたアジア地区のSuperdome X Product Managerを務める。2016年12月から、日本HPの総合エバンジェリストに就任し、様々な製品を紹介。自称ハードウエアオタク。

コメント

パーツナンバーも同じだったら… すごい。