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ハイパーコンバージドの取扱説明書 3:後悔しないトリセツの読み方

Yoji_Inoue

 

medium.jpeg ハイパーコンバージド によって、従来型インフラの抱える課題をいくつも解決することができます。しかし誤解してはいけないのは、ハイパーコンバージドは万能ではないということです。後から後悔しないためにもトリセツは隅々まで読んでみる必要があります。そんな隅っこの細かい文字に実は大事なことが書いてあることもあるのですから。

  

〇 ✖ 表の大罪

日本人の大好きな〇 ✖表、これには大きな落とし穴があります。中には機能はあるが実用に向かないものもあるのです。よくあるのが「ある条件でのみメリットが出ます」、「機能XXXとの併用はできません」といった条件限定機能。これだと結局何かを我慢する必要があり、場合によっては使わない無駄な機能となってしまいます。本来〇 ✖表は必要な機能を精査するものですが、要件(SLA:サービスレベル)をきちんと定義していないとこのようなボタンの掛け違いが起きてしまうこともあるのです。もしも家電を買うとしたら? 一生使わない機能まで搭載した割高で複雑なモデルか? それとも必要な機能が搭載されていてそれが「とても使える」モデルか? どちらを選ぶのが良いのでしょうか?

 

細かい文字ほど気を付ける

 良心的な資料であれば注釈がついていることも多いでしょう。その細かい注釈をきちんと読むことをお勧めします。さらに文字が小さければ小さいほど気を付ける必要があります。できるだけ見てほしくないという暗黙の意思表明であることが多いのですから。さて、注釈があるということは、その機能はある条件での限定機能か、別の何かを犠牲にするケースが多いです。ハイパーコンバージド製品の場合は以下のような項目が要注意です。

 

重複排除機能・データ圧縮機能

 最近ではこの機能がついていないハイパーコンバージドはほぼ無いのではないでしょうか?〇 ✖表で言えば「〇」です。でも気を付けなければいけないのは、製品によってデータ削減効果がまちまちであることです。特に重複排除の方式は各ベンダー独自の方式であることが多く、そのために効果に差がでてきてしまうのです。さらにソフトウェアで高いデータ削減効果を実現しようとすると、性能とのトレードオフが起きたりするため実際に聞いてみると「この機能は使っていません」なんてことも多いのです。また重複排除したデータをそのままバックアップしたりコピー・クローン作製したりできないケースもあります。

可用性(データの堅牢性)

可用性とは障害が発生した時にサービスを継続できるかという指標になります。例えばディスクが1台壊れた際に「サービスが停止せず継続できるか?」「性能劣化は起きないか?」「ディスクが2台壊れた場合はどうか?」 といったことを確認する必要があります。一般的なハイパーコンバージドでは同じデータを複数の異なるノード(サーバー)のディスクに書き込むことでディスク障害時のサービス停止、データロストを防ぐのですが、このコピーの数が重要です。いままでの経験では多くの場合コピー2の構成で提案されていることが多いです。しかしこの場合、1つのディスクが壊れた場合、早急に同じデータを別のディスクにコピーする必要があります。結果としてネットワークの負荷が増える、読出しおよび書き込むディスク両方に負担がかかるといったことが起きます。これを回避するためにはコピーを3つ作成する方式もあるのですが、その場合データストレージ容量およびネットワーク負荷が50%増加するという負の側面もあるため、あまり提案されていないのだと思います。

バックアップ 

バックアップにも様々な解釈があり、本格的な3-2-1ルール(データのコピーを少なくとも3つ作成、コピーを2つの異なるメディアに格納する、1つのバックアップ コピーをオフサイトで保管する)から安価なNASへの手作業でのコピー、スナップショットさえもバックアップと言えば言えなくはないため、〇✖表だとすべてが「〇」ということになってしまいます。でも確実にデータを保護するという意味では明らかに大きな違いがあります。特にスナップショットはその保存の数や期間にも制約があったり、ストレージ容量を逼迫してしまうこともあります。フルバックアップとは異なる、短期間のリコール(オペミスなどへの対応)用と考えたほうが良いでしょう。ではなぜフルバックアップではなくスナップショットが多用されているのでしょうか?それはやはりスピードです。フルバックアップとなると通常は数時間かかることもざらですがスナップショットならあっという間に取れてしまします。ではスナップショット並みの速さでフルバックアップが取れるのであれば、それがベストではないでしょうか?

コスト

これは明示的にいくらということは少ないのですが、実際のハイパーコンバージド製品は割高であることが多いです。もしも検討している仮想化基盤が一度セットアップしたら将来拡張することもなくそのままの状態で生涯を全うするのであれば、ハイパーコンバージドは必要ないのかもしれません。ハイパーコンバージドと従来の3層構成(サーバー、ストレージ、ネットワーク)の大きな違いは導入時のコスト(CapEx)というよりは運用コスト(OpEx)に顕著に現れます。サーバー、ストレージ、ネットワーク構成の検討から、検証、構築、さらには運用しながらの拡張や縮退(ノードの切り離し)、これらを簡単にすることで管理コストとオペミスを低減することが大きなメリットです。

 

隠れコストを洗い出す

ハイパーコンバージドを検討される方は従来のシステムをどこまで統合(コンバージ)できるかを再検討する必要があります。具体的にはデータ管理・保護コストです。テスト環境や学校の授業、またはデータが別の堅牢なデータベースで運用されるケース以外であれば、データのバックアップやリモートサイトへのデータのコピー(レプリケーション)は必須と考えるべきでしょう。特に自然災害が多い日本では、遠隔地のリモートサイトにデータコピーを保存しておくのは最低限必要だと思いますし、増え続けるサイバー攻撃に対しても効果的です。HPEのハイパーコンバージドはデータ保護機能があらかじめ組み込まれていますので、従来必要であった、バックアップ製品やバックアップサーバー、アプリケーション、場合によっては遠隔地のサイトに低回線でも高速にデータを転送できるWAN高速化装置のコストも削減できます。さらにそれらの運用コスト(特に定期的なファームウェアアップデート作業等)も削減可能です。しかしながら中にはこのような機能が盛り込まれておらず、「バックアップ・DRには別途専用の製品を購入していただく必要があります」と注釈があれば、そのハイパーコンバージドには追加のコストが必要になることになります。

 以下にコスト計算をより正確にするためのヒントを記述します。

トータルコスト(TCO)に含める項目

  1. ハードウェアコストのサポートを含めたコスト
  2. ソフトウェア、ハイパーバイザー等のサポートを含めたコスト
  3. 運用コスト

 

運用コストの計算で考慮すること

  1. 利用するコールセンターの数
  2. L1 L2 L3 コール数 (サポートレベルによりLevel 1からLevel3があります。)
  3. サポートツールの数 (サポートツールごとに習得、定期的トレーニングが必要です)

 

上記からスキルレベルの人材コストと人数を決める

それぞれのハードウェア、ソフトウェア、ハイパーバイザー毎にコールセンターが異なる場合はそれぞれの専門知識(スキルセット)が必要になるケースがあります。理想的には全てを兼ね備えている人材がいればよいのですが、そう多くないのが実情です。専門知識を身に着けるためのトレーニングの実施、すでにスキルセットを身に着けている人の採用という選択もあります。それぞれのスキルセットごとに年間どれくらいの時間がかかるかを想定してそれを合計してみます。障害発生率は製品の可用性等を考慮するとよいでしょう。

 

失敗しないために

最後にもう一度製品の選択に失敗しないための心構えをまとめてみます。是非これらの項目を意識して最適な選択をしていただきたいと思います。

  1. 〇✖表を鵜呑みにしない 同じ〇でも違いがあることを肝に銘じる
  2. 注釈は必ずチェック 利用上の制約がないか確認する
  3. 要件をより具体化、できるだけ数値化し優先順位を明確にする
  4. トータルコストの意識を持つ 特に運用コストは全体像を把握する

 

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作者について

Yoji_Inoue

Technology Evangelist, Composable Infrastructure, Software Defined Data Center and Cloud Technology Architect, Hyper Converged, Storage, Memory centric-Data driven computing, Specialist

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