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HPE最大のイベントDiscover 2018 LasVegas速報 エバンジェリスト視点で見る

Yoji_Inoue

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今年もHPE最大のイベントDiscoverがラスベガスで開催されました。今回はCEOであるアントニオ・ネリの基調講演から最新の業界動向、HPEの戦略、注目のトピックスを、エバンジェリストの視点で解説します。

 

 


デジタルトランスフォーメーション実現に必要なもの
多くのITベンダーが口をそろえて言うのは「デジタルトランスフォーメーション」の実現なのですが、そのアプローチや戦略は似ているようでかなり違います。
HPEのメッセージは以下の3つに集約されます。

 エッジファーストの世界
 クラウドが多様化する世界
 データの価値を最大化する世界edge-cloud-memorydrvn.png

 ではこのようなデジタルトランスフォーメーションされた世界の実現には何が必要なのでしょうか?HPEの戦略の柱は以下の3つになります。

  • エッジからコアのソフトウェアデファインドプラットフォーム
  • エッジセントリック
  • メモリードリブンコンピューティング

 

1.エッジからコアのソフトウェアデファインドプラットフォーム

今や多くのITベンダーが「ソフトウェア・デファインド・データセンター(またはインフラストラクチャー)を実現します」と言っていますが、HPEはさらに次のフェーズを提案します。それが以下のメッセージ、直訳すると「全てのエッジデバイスからあらゆるクラウドにわたり、高いセキュリティを提供するソフトウェア定義のプラットフォーム」とうことになります。 この施策はHPEが以前から提唱しているハイブリッドIT戦略の中核をなすものになります。Secure-SD-plarform.png

 
ITインフラ全てをソフトウェア定義化(物理層を意識しないでソフトウェアやサービスを提供)するにはインフラを自立化するインテリジェンスが必要です。これは人間の自律神経のようなもので、顕在意識で考えなくても勝手に呼吸を整えてくれたり、体温調整をしてくれたりする機能です。すでに100万ライセンスを市場に提供してきたOneViewは、ITインフラを自律化(Autonomous)するインテリジェンスを提供します。
同様にインフラの健康状態を常に監視し、事前に予防してくれる技術が昨年買収したストレージスタートアップNimble社のInfoSightというAIを使った技術です。この技術の優れた点は単純にストレージ層の情報をAI分析するだけではなく、仮想マシンやソフトウェアなどの多角的なデータ分析を行っているところです。HPEはこの技術を既に別のストレージ製品である3PARに実装していますが、今後はサーバー等HPEの他の製品にも拡張していきます。
インフラのソフトウェア定義化はSynergyという製品ですでに実現していますが、その枠を超えあらゆるサーバー、ストレージ製品をソフトウェア定義化するにはそれらを結ぶネットワーク技術のソフトウェア定義化が必要です。最近買収したPlexxiはその技術を提供します。一方エッジ、ブランチ側のネットワークのソフトウェア定義化はArubaのSD-WAN ソリューションであるAruba Software-Defined Branchでカバーし、エッジからコアまでのソフトウェア定義化を実現します。さてクラウドの世界も進化しています。数年前まではハイブリッドクラウドという言葉をよく聞きましたが、HPEの最近のメッセージはマルチクラウドです。単純なオンプレとパブリックのハイブリッドではなく、今後は複数のクラウドを利用し、適材適所で使い分けるのが主流となりつつあります。ただし問題はそれらを一元管理する仕組み、サービスがないことです。それぞれのクラウドの利用料金が一度に確認できたり、ワークロードの最適化をシームレスに行ったりするインテリジェントな機能が今後求められます。それを実現するのが今年1月にリリースしたOneSphereです。最初はAWSの対応のみで始まったOneShpereも今回Azureもサポートできるようになりました。今後もマルチクラウドの選択肢を拡充していきます。さてAWS、Azureといったメガクラウドサービスもそれなりの専門知識が必要です。HPEはぞれぞれのクラウドサービスを専門としているCTPRedPixie社を買収しました。これらのコンサルタントサービスは、HPE Pointnextから提供します。「所有しない時代」を先取りして以前からPointnextが提供しているオンプレの従量課金サービスもGreenLakeソリューションのひとつとしてさらにサービスを拡充しています。

 


2.エッジセントリック

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エッジセントリックというテーマが表示され始まったインテリジェントエッジのセッション。ガートナーは2022 年までに75%のデータはエッジで生成されると報告していますが一方エッジで生成されるデータの94%は利用されず捨てられているのが現状です。つまりエッジにインテリジェンス(コンピュータ)を持たせる必要があります。それがインテリジェントエッジで、HPEは今後4年間で40億ドルを「インテリジェントエッジ」分野へ投資することを発表しました。
事実コンピュータの世界は集中と分散を繰り返してきています。メインフレーム時代からクライアントサーバ、クラウドへと進化して、今はエッジコンピューティングにサイクルが切り替わろうとしている過渡期ととらえられるでしょう。

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実際に今注目を浴びているブロックチェーン技術などは中央集権型から分散型への大きな転換点を迎えている証拠と言えるでしょう。ブロックチェーンは単なる金融だけの世界と思っている方、実はこの技術、今後のITの在り方自体を大きく変える基本技術と考えられています。例えばセキュリティレベルと可用性が非常に高い分散コンピューティングや分散ストレージ等はこの技術を応用できると考えています。今クラウドはメガクラウド時代ですが、大型の恐竜が絶滅し小さい哺乳類が生き残ったように、もしかしたら未来ではメガクラウドという表現は使われなくなってくるのかもしれません。
今回Discoverでは、インテリジェントエッジ製品ではHPE Edgeline EL 4000、EL 1000のSAP HANA、Microsoft SQL Serverなどの認定の発表や、エッジでのAI、ビデオ分析やデータベース用に48TB のSDS を搭載可能なHPE Edgeline Extended Storage Adapterも発表しました。


3.メモリードリブンコンピューティング

 とはいえエッジでメガクラウド並みの高速計算をするのはやはり無理があります。当分はクラウド内の巨大な頭脳の庇護が必要になりますが、そのような高性能なコンピュータにも大きな課題があります。現代のコンピュータアーキテクチャーでは90%のエネルギー(電力)がプロセッサーからメモリーストレージ間の移動に使われていて非常に効率が悪いのです。そこでHPEがここ数年取り組んでいるのがメモリードリブンコンピューティング(MDC:メモリー主導コンピュータ)です。このMDCではCPUやGPU、TPU、FPGAといったプロセッサーからダイレクトにアクセスできる巨大なメモリープールを実現し、従来必要だったデータの移動が大幅に削減できます。HPEは2017年に160TBのメモリープールをThe Mahineで実現し、巨大なグラフ計算で100 倍以上、大規模なモンテカルロシミュレーションで10,000 倍以上の高速化を図ることを実証しています。今回のDiscoverでは、アプリケーション開発者向けの開発・検証環境「Memory-Driven Computing Sandbox」の提供を発表しています。検証環境としてはHPE Superdome Flex を利用、最大96TB の共有メモリ空間を提供します。MDC.png

 

この分野でHPEは2017年にHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピュータ)のSGIを買収していますが、今回のイベントではARM ベースのHPC システムとして世界最大級となる「Astra」の開発を発表しました。このシステムはCavium 製ARM ベースのプロセッサー ThunderX2 を5,184 基搭載し、世界のHPCランキングトップ100に入る最初のARMベースHPCになります。


世界の中心でAIを叫ぶ?

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最後に登場したのは何とポーカー台。ラスベガスだからカジノという単純な発想ではなくこれにはちゃんと意味があります。AIが人間と対戦するゲームはチェスから囲碁、そしてさらに難易度が高いポーカーに。ピッツバーグスーパーコンピューティングセンター(PSC) は2017年11月に開催されたInternational Conference for High-Performance Computing (HPC), Networking, Storage and Analysis (SC17)でBest Use of AIを含む5部門でアワードを受賞しましたが、世界のトップポーカープレイヤー5人を負かしたPSCのAI、“Libratus”はHPEのHPC“Bridges”上で動いています。全てが見えるチェスや囲碁よりも裏面のカードを予測する必要のあるポーカーはより高度なAIが必要と考えられます。そうなると過去のデータ分析を高速で行う必要があり、これがいわゆるインサイトからフォアサイト、そしてハインドサイトの活用となるわけです。今回のゲームの勝者はプロディーラーの美女ではなく、HPEのCTOでありHPC部門を統括するDr.Gohでした。HPEのHPCはGreen500ランキング1位を獲得した、東京工業大学のHPC「TSUBAME 3.0」にも採用されています。

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より良きパートナーシップ

今回基調講演に登壇していただいたパートナー企業のメッセージにもデジタルトランスフォーメーションの必要性をうかがわせるメッセージがちりばめられていました。世界最大級の旅行会社トラベルポートは90日かけて5000台のサーバーを設置できるデータセンターを開設しました。使用するのは世界最初のコンポーザブル・インフラストラクチャーを実現するSynergyです。彼らは従来の旅行会社からテクノロジーの会社へのトランスフォーメーションが必要でした。HPEの技術を投入することにより、利用者個人個人それぞれに対する細やかなサービス、サポートを実現します。言わゆるマイクロサービスです。
もう一社のフォードは、自動車製造販売からエッジサービス型へのトランスフォーメーションを急速に進めています。彼らにとって自動車はもはや移動手段だけではなく、移動するエッジデバイスという認識なのです。このようにデジタルトランスフォーメーションを成功させるには従来の主事業の概念すら大胆に変える必要があり、「技術」だけではなく「人や文化」、「経済システム」の変革も同時に行う必要があることを体感しました。

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尚、日本でも7/25に今回のDiscoverイベントのプレゼンター数名を招きDiscover Forum 東京 2018を開催します。是非このイベントの興奮を体験下さい!
参加登録は以下からお願いします。http://h50146.www5.hpe.com/events/seminars/info/discover2018.html 


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作者について

Yoji_Inoue

Technology Evangelist, Composable Infrastructure, Software Defined Data Center and Cloud Technology Architect, Hyper Converged, Storage, Memory centric-Data driven computing, Specialist