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ジェフェリー・ムーア氏からのメッセージ - 未訳の新著 "Zone To Win" を解説! (2)優先度を付ける難しさ

Yoshimi

先のブログでは、ムーア氏の講演、氏との対話を通じて知ることのできた示唆の「さわり」について書いてみました。

ここでは、主に「デジタル化がもたらす次の波」を「捉えるのか」それとも「捉えられるのか」、どのような優先度が必要で、どのように立ち向かうのか、そのアプローチを説明するために、ムーア氏が整理している枠組みについて順に紹介します。

3つのレイヤー
ムーア氏は、ビジネス・モデル、オペレーティング・モデル、インフラストラクチャ・モデルという3つのレイヤーを使って、デジタル・トランスフォーメーションのインパクトを整理しています。それぞれのレイヤーでスマートフォンの例を使って説明しています。

  • インフラストラクチャ・モデルの デジタル・トランスフォーメーション
     - スマートフォンでのやりとりが不動産業界に使われるような場合。
     - やり取りがスマホになっただけで、ビジネス・モデルにもオペレーティング・モデルにも影響していない。
     - CIOが判断するレベルであり、業務プロセス(オペレーティングモデル)を下支えするITを変える。

  • オペレーティング・モデルのデジタル・トランスフォーメーション
     - スマートフォンのアプリケーションが航空旅客業界に使われるような場合。
     - 予約や電子チケット、マイレージなどの業務が変わる。
     - CXO(日本では業務部門(Line of Business: LoB)のトップ、の方が分かりやすいでしょうか。)が
          判断するレベルであり、業務プロセスを(近代化することで)変える。

  • ビジネス・モデルのデジタル・トランスフォーメーション
     - スマートフォンなどを介したビジネスが広告業界などで使われるような場合。
     - 既存のメディアでのあり方とは全く異なるやりかたの宣伝や収益モデルになる。
      (デジタル・マーケティングなどを想定すると分かりやすいですね。)
     - CEO が判断するレベルであり、ビジネス自体を変える。

スライド5.GIF3つのレイヤー (Courtesy of G. Moore.)

 「ビジネス・モデルのデジタル・トランスフォーメーション」は、話題性も高く(=派手で)、方々で取り上げられることも多いが、極めて多くの失敗例があり、そう簡単なものではない、とも講演の中で触れていました。多くの企業が焦点を当てるべきは「オペレーショナル・モデル」であり、このレイヤーのデジタル・トランスフォーメーションを軽視すべきではない、と言っています。

Zone To Win」の中でも、「次の波を捉える」ために2つのポイントを挙げています。

  1. 早急に既存のオペレーティング・モデルを最新技術を使って可能な限り近代化すること。
    これにより破壊者が短期的に与える影響を鈍らせることができる。
  2. 並行して、自らのポートフォリオ(製品やサービス)を次世代のものに変えていくこと。
    これにより、他のカテゴリーで起きている破壊の波を捉え、自らの歩みを加速することができる。

とはいえ、前者はもちろんのこと、後者であればなおさらのこと、何を見据えて何から実行していけばよいのか?少し考えるだけでも、色々な観点が思い浮かびませんか?「とにかく、これをやるのだ!」とは(情緒的に言い換えるなら、大胆な「勇気」を持って)決めることができず、様々な調査はもちろん、試行錯誤の後、結果として成果に苦しんでいるお客様を、吉見も多く見てきたように思います。

ムーア氏も、そこには「優先度付けの難しさ」が必ず生じる、としています。その難しさを投資・回収期間の観点から理解するために、ホライズンという枠組みを整理しています。

3つのホライズン(地平線)

2つ目は、投資と期待する成果(ROI)の期間に関する枠組みです。この枠組みは、ムーア氏の「エスケープ・ベロシティ」で既に登場しているものです。ホライズンは地平線の意味です。視野としてどの地平まで見渡せているのか、という比喩で使っているものと思います。

スライド8.GIF3つの投資ホライズン (Courtesy of G. Moore.)

  • ホライズン1
     - 売上・収益がある実益のビジネスで着実に成長していくための視野。
     - 投資としては、1年以内(0~12ヶ月)での成果を求める。
     - 現在の製品・サービスカテゴリーでの売上げ最大化が投資の目的。
       短期的な成果を狙っていれば、投資の説明や判断が比較的しやすい。

  • ホライズン2
     - これまでの投資を、売上・収益の実ビジネスで取り返していく視野。
     - 投資としては、2~3年(12~36ヶ月)での成果を求める。
     - 将来の成長のために新たなカテゴリーでの次世代ビジネス推進が投資の目的。
       ホライズン3での戦略的な取り組みをホライズン1の候補へと絞るためのもの。

  • ホライズン3
     - 実ビジネスで投資を取り返すことを直近では求められておらず、研究・開発として投資を行う視野。
     - 3~5年(36ヶ月~72ヶ月)での成果を求める。
     - 将来の競争力につながる様々な取り組みを研究・開発として行うことが投資の目的。
     - 持続的なイノベーションであれば、(次の波を捉える活動ではないかもしれないが)、
       投資の理解は比較的得られやすい。

ムーア氏は、「次の波を捉える」ためには、ホライズン2に大きな課題がある、としています。
実益としてのビジネスで収穫を得る(「Sカーブを捉える」と例えています)には、ホライズン2で大きな投資をすることが必要(「Jカーブを乗り越える」と例えています)だからです。

スライド9.GIFJカーブを乗り越える (Courtesy of G. Moore.)

特に、破壊的イノベーションの場合、ホライズン2は持続的イノベーションの場合と大きく異なることを強調しています。それは、ファネル(漏斗)のような自然な流れではなく、砂時計のような「ねじった」転換点であり、組織全体として自らの組織との衝突を招くもの、としています。

スライド10.GIFホライズン2の課題 (Courtesy of G. Moore.)

 

 では、レイヤーやホライズンの枠組みを踏まえ、自らが破壊者となって「次の波を捉える」ためには、もしくは他の破壊者による「次の波に捉えられない」ためには、どういったアプローチを取るべきでしょうか?

かなり長くなってしまいましたので、ブログを改めて、「Zone To Win」の中心的な枠組みである「4つのゾーン」と、優先度付けのための使い方に入っていきたいと思います。

(お読みいただきありがとうございました。続きをお楽しみに!)

作者について

Yoshimi

自動車・ハイテク業界の設計・開発業務向けの業務分析・アプリケーション開発を基軸に活動を開始し、現在、製造業向けサービス・情報活用エバンジェリスト/エンタープライズサービス事業統括 製造業向けビジネスデベロップメントとして活動しています。

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Yoshimi

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