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2020年のインフラ (2) あなたのインフラ24時間働けますか?
「タイムシェアリング」という言葉で多くの人が思い浮かべるのは、リゾートホテルの共同購入ではないでしょうか? しかしこの言葉、パソコンやサーバなど存在しなかった1960年代のメインフレームコンピュータ時代には、1つのコンピューターを複数のユーザーやアプリケーションで共有する手法として当たり前のように使われていました。x86サーバーの出現により「タイムシェアリング」という言葉は聞かなくなりましたが、ITリソースを共有するクラウドモデルが一般化してきた今日では、オンプレのインフラも再び「タイムシェアリング」型になっていくのではないでしょうか?
タイムシェアリング アゲイン ー あなたのインフラ24時間働けますか?
以前のように1つの別荘を「所有」するというリゾートライフから、最近は世界中の異なるリゾートホテルをタイムシェアリングするサービスが増えてきているようです。その時の目的、予算、人数に合わせて最適なものをチョイスできるほうが、楽しみ方も多様化してきた現代にマッチしているのかもしれません。一方コンピュータの世界でも、パソコンなどがまだ出現していない時代には、高価な1つのコンピュータを複数の人が時間を決めて利用するのが一般的でした。当時は当然のことながら仮想化技術もなく、複数の異なる演算をするような作りにはなっていなかったため、時間割を決めて利用者がかわるがわるコンピュータのリソースを利用する形態でした。そのため、コンピュータリソースが100%使われることもあれば、1%しか使わないなんてこともあり得たわけです。かなり効率が悪いですよね。それでは現代の「新時代のタイムシェアリング」ではどのようになるのでしょうか?
新世代のタイムシェアリングはここが違う
仮想化技術も一般的になってきた現在では、ある程度コンピュータ、ストレージ、ネットワークリソースを共有して、その中で分割して使えるようになりました。でも通常は一度決まった構成を変更することはあまりなく、ましてや時間ごとに全体を入れ替えるなんてことは簡単にはできません。さらに仮想化環境から物理環境へ、またはその逆なんてことをやっている人は極めて少ないのではないでしょうか? でも生産性をもっと上げるためには稼働率を上げるのがもっとも簡単な方法です。工場で言えば24時間三交代制、農業では二毛作や三毛作といったところでしょうか? 工場の三交代制は工場のラインを変えずに働く人が入れ替わるスタイルで、従来型のタイムシェアリング方式と言えるでしょう。一方、鎌倉時代から始まったといわれる二毛作は、春から秋までは稲、秋から春に麦を栽培していました。最近では同じ土地で季節ごとに異なる作物を収穫する三毛作が行われています。最新のタイムシェアリング型インフラは、どちらかというとこの三毛作型で、ITインフラを仮想環境から物理環境、さらにはコンテナ環境へ切り替えてリソースを使うことができます。その特徴は以下の3つに集約されると考えています。
1. 同じ時間に複数のワークロードを詰め込むだけ詰め込める
従来型のインフラはある特定のワークロード(アプリ)に対してチューニングされているため、他のワークロードをそのまま使うと非常に効率が悪かったりします。ところがインフラを流動的なリソースプールに抽象化することにより、異なるワークロードに対して、最適なITリソースを提供することが可能になります。
2. スケールアウト・イン、スケールアップ・ダウンが自由自在
一般的にアプライアンスはスケールアップか、スケールアウトに特化したものが多く、一般のハイパーコンバージドは後者に特化した製品だったりします(HPEのハイパーコンバージドは両方可能です)。さらには今稼働しているワークロード用のインフラを縮小するスケールインや、利用している環境をゼロにして、すぐに別のアプリに再利用できる必要があります。
3. リソース組み換え時間が圧倒的に短い
上記のようなことを人力でやることはもちろん可能です。でもそれでは人材も限られ属人的になるだけでなく、インフラ解体、再構築、さらに正常に動くことの確認テスト、それもその作業の間はアプリを継続動作させる、なんてことになるとかなりの時間がかかるものです。これを数時間ではなく数分で切り替える、圧倒的な自動化技術が必要です。
上記のようなことが実現できるとどうなるでしょう?従来型のタイムシェアリングが非常に無駄が多く、遊休インフラだらけだったのに対して、新タイムシェアリングでは、空いている土地にはどんどん作物を植えられる三毛作型インフラが実現できます。
24時間を異なるアプリで共有してみた
それでは具体的な運用例を1つ紹介しましょう。近年利用が広がっている仮想デスクトップ(クライアント統合:VDI)と、データベースを動かすための物理環境、そして今後導入が急速に始まるといわれるコンテナの3つです。
通常VDI環境は平日の昼間に使われることが多く、深夜になると利用することは稀で当然利用率も激減します。一方、データベースのバッチ処理にはそのオーバーヘッドとライセンスコストの問題から、最適にチューニングされた物理環境で動かすことが多いです。でもバッチ処理も24時間365日稼働することはあまりないのではないでしょうか? 通常は夜間、または夜間に終わらない場合は週末に行ったりします。さらに最近、各社が採用を始めているコンテナは開発環境として使われることが多いですが、開発者も24時間働くわけではありません。そこでこの3つのアプリケーションを8時間ごとに区切ってみます。朝から夕方の8時間は社内ユーザー向けの仮想デスクトップ、夕方から深夜の8時間はデータベースのバッチ処理、深夜から朝方までは西海岸の開発者向けCaaS(コンテナ・アズ・ア・サービス)基盤として使います。
1. VDIはほとんどの場合仮想環境ですのでハイパーバイザー上にVDIのアプリケーションをインストールします。
2. 次にバッチ処理を行う時には、ハイパーバイザーを取り除きLinuxに切り替えて利用します。この作業が何と30分以内に完了します。
3. 次にコンテナ環境はLinuxであればそのまま、OSが異なる場合はOSの入れ替えをして、コンテナ環境を再構築します。これも数十分で完了します。
つまり以下の図のように3つのアプリケーションを数十分で切り替えることが可能なのですが、汎用のサーバーと手作業ではとてもこんな短時間にインフラを組み替える(Re-compose:リ・コンポーズ)ことはできませんよね。それを実現するのが「コンポーザブルインフラスタラクチャー」(前のBlog参照)なのです。この例の場合、この仕組みにより同一のハードウェアで従来の3倍の効率を実現できます。
関連リンク
2020年のインフラ (1) イ ンフラは3Dプリンターで作れるか?
http://ow.ly/fE2u30gyMlv
Gartner Hype Cycle for I&O Automation, 2017 から見えてくる次にくるものは?
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Gartner Hype Cycle for I&O Automation, 2017 から見えてくる次にくるものは? - 2 -
http://ow.ly/SmiG30goWgL
HPEハイブリッドITソリューション
https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/transform-hybrid.html
HPEコンポーザブル・インフラストラクチャ
https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/infrastructure/composable-infrastructure.html
HPE Synergy
https://www.hpe.com/jp/ja/integrated-systems/synergy.html#Resources
HPE フレキシブルキャパシティ (従量課金サービス)
https://www.hpe.com/jp/ja/services/flexible-capacity.html
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