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2020年のITはどうなる? - 3 - 失敗しないIT変革(前編)

Yoji_Inoue

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 デジタルエコノミー時代にはITの抜本的な変革が必要と言われています。でもどうしたらその変革を成功させることができるのか、なにからやればよいのか、その優先順位は? 今回はそこの所を一度整理して如何に失敗しないIT変革を実現できるかについて解説します。

 

 

 

 

改革はどの産業でも必須だがペースは違う

 インターネット、ワイヤレス、スマートフォンの普及で実現した「デジタルデータの民主化」は世界をガラッと変えました。以前デジタルデータはある特権階級だけのものでしたが、今では一般市民にも開放されました。企業ITの世界でいうと、メインフレーム時代は政府・大学・大企業だけが利用できたデジタル技術は、オフコン・サーバーの普及で中小企業にまで普及、現代では働き方改革、BYOD(Brind Your Own Device : 個人所有のデバイスで仕事をする)により、全社員がいつでもどこでも、複数のデバイスでデジタルデータを利用できるようになりました。つまり個人ではなくマルチデバイスの時代になってきたということです。その中にはもちろんIoT、つまり人が介在しないマシンも含まれます。disruption by industories.png 

このようなデジタルデータの民主化は、市場の在り方も大きく変えました。すでに周りを見渡せば、小売りの世界ではネット販売が主流になり、音楽や出版物の世界でもデジタルコンテンツが主流に、その時代にうまくIT技術を活用した会社が従来の恐竜のようなビジネスを駆逐していきます。巨人と言われた企業ももはや安泰ではないのです。ただ、どの産業も同じペースでデジタル破壊(Digital Disruption)が起きるわけではありません。特に進行が速い産業は、通信、小売り、保険、個人向け金融サービス等ですが、今回は5つの産業の代表的な「破壊的技術・トレンド」を紹介します。

運輸産業

車だけでなく自転車等にも応用されているライドシェア、日本でも2020年のオリンピックを目指して本格的にライドシェアに投資をはじめた会社もあります。このようにシェアリングエコノミーのアイディアはパーキングにも応用が可能でしょう。特に大都市では空いているパーキングを探すのは一苦労、またそれが渋滞の原因にもなるため是非とも導入してほしい技術です。これをさらに発展させると「民泊」のように個人のパーキングを貸し借りできるようになります。例えば年間100日会社の駐車場に自分の車を駐車しているとしたら、100日分の駐車料金を稼ぐことができる可能性があります。

ヘルスケア

日本では電子カルテが普及してきたのも最近ですが、電子カルテだけでなくPACSデータや、さらにはウェアラブルデバイスからのデータを含む様々な検査データを統合的に分析してパーソナル医療に役立てる時代になってきました。日本発の技術もあります。認知症等に効果があるとされているアザラシ型アニマルロボットは世界30か国・地域以上で利用されています。

農業

 高解像度カメラを搭載したドローンは農地の状態や気象状況を把握し、どのスポットに水が足りないか、肥料が足りないかを測定し、無駄なくスポットで肥料や農薬、水の散布を行うことができます。垂直農法Vertical farming)は農業の在り方を一変させるでしょう。都心のビルの中で栽培ができるため、輸送の時間もコストも不要になります。また平面でなく高層マンションのように多層の「農地」で生産できるため、生産密度は従来の25倍になるといわれています。結果として低コストで新鮮な野菜を早く提供できることになります。人間のウェアラブルと同じ要領で、家畜の健康管理もデジタルタグで実現されるでしょう。

 個人向け金融業

 2016年の時点でフィンテックのスタートアップは2000社あり全産業の中でも最もスタートアップの多い分野だといわれています。例えばソーシャルレンディング銀行を経由しないお金の貸し借り:peer-to-peer lending)は年率200%の伸びています。世界の40%の人たちが銀行の利用ができないと言われていますが、世界の大人の70%はスマートフォンを持っています。これはつまりスマートフォンによる電子財布が広まるのも理にかなっているのです。技術としてはブロックチェーンがありますがこの技術を利用した電子マネーも急速に広まて来ています。最近のビットコインブームを見ればその勢いは肌で感じることができます。

製造業

VR・ARによる工場作業者の効率化とオペミス低減、産業ロボットやスマートマシン、さらにIoTつまりセンサーデータの活用は製造業の効率化を実現しますが、効果を最大化するにはそれぞれ分離されていた製造システムやサプライチェーンをつなぐ必要がありますが、セキュリティを確保しながらこの仕組みを実現する必要があります。さらにAIによる障害予兆検知は製造ラインのダウンタイム、メンテナンスコストも改善するでしょう。 3Dプリンタは製造業の民主化を実現します。今後は同一のものを大量に生産するよりも多種多様なものを早く低コストで清算できるマイクロ工場(micro-manufacturing)が増えてくるでしょう。3Dプリンターであれば一度に完成品が作れるため、部品毎の複数の製造工場や倉庫、サプライチェーンも不要になります。すでにドイツのシューズメーカーはこのビジネスモデルを始めています。

   

同時に3つを変える

人は変化を好みません、変化するにはそれなりの労力が必要だからです。ただ、たびたび引用されるダ―ウィンの有名な言葉「最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは変化できる者である。」にあるように、環境が変化した時に如何に早くその変化に対応できるかどうかが企業の将来を大きく左右します。変化の激しい現代には最も当てはまるのではないでしょうか?さて、デジタルトランスフォーメーションというと、新しい技術の導入に目が行きがちですが、実はそれ以外の層の変革も同時に行わないと失敗します。

具体的には、以下の3つの層の改革を同時に行う必要があります。

  1.  ビジネスモデル(企業戦略)
  2.  オペレーション
  3.  テクノロジー (IT部門の再編)

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 1. ビジネスモデル(企業戦略)

デジタル破壊者が続々と出現する現代、過去のしがらみや負の遺産を持たない彼らは身軽で速いです。それに対抗するにはまずビジネスモデルをきちんと定義する必要があります。具体的に気を付ける項目として以下の4つを挙げます。

  • 自社ビジネス基盤とマーケットがマッチしているか?

多くの企業にとって、身軽なスタートアップとの差別化は過去のデータです。例えば顧客情報や生産データ等。これらは重要な資産でありながら複数の別のアプリで利用することを考慮されていません。そのデータを解放する仕組みを導入し、スタートアップとの差別化をしていくことが重要です。

  • 所有から利用へ、pay-per-use モデルの採用

すでにクラウドの出現によってITも「所有する」時代から「利用する」時代に変化してきています。すでにシェアリングエコノミーという言葉があるように、pay-per-use モデルの採用は必須と言えるでしょう。

  • デジタル技術による付加価値はなにか?

 新しい技術はたくさんありますし、今後も生まれてくるでしょう。ではそれらのどの技術を使って付加価値、他社と違うサービスを提供できるのでしょうか?その目利きがより重要になってきます。

  • データを利用した製品またはサービス

データを最大限に利用するのはもちろんですが、そのためには最適化されたオペレーションIT技術の有効活用が必要です。 それらについてはこの後解説していきます。

 

 2.  オペレーション

オペレーション層の変革には以下の3つに気を配る必要があります。

  • カスタマーエクスペリエンス

フリクションを取り除く、簡単に言うと〇〇パッシングの仕組みを作ることです。例えばアマゾンは書籍のサプライチェーンを破壊しました。真ん中を抜いて直接届ける、問屋・本屋パッシングです。同社は同様のモデルをクラウドでも提供しています。個人が少ない費用で直接ITリソースを購入できます。他にも顧客がストレスを感じないようなスピードが求められますし、押しつけがましくないレコメンド(推奨)やさらにその先の「おもてなし」も提供していく必要があるでしょう。例えば間接照明を検索している人はリラックスした空間を求めているので、本人の好みに近くリラックスできる音楽を提供したり、アロマグッズ、またリラックスできる場所の情報提供をしていくようになるでしょう。

  • 製品・サービス

製品にエッジコンピューティングとプログラムをアップデートできる仕組みをあらかじめ組み込むことが重要です。またすでに一部のクラウドサービスで実装されているレコメンド(推奨)する仕組みや、プロ並みのアドバイスをしてくれるサービスが実装されるようになるでしょう。製品が市場に出た後も、絶え間ない改善のためユーザーのデータをフィードバックする仕組みを実装することも必要になってきます。

  • コアオペレーション

製造工程へのセンサー、3Dカメラ、画像認識技術の実装は製品品質の向上と生産のスピードアップを実現します。さらにそれらのデータをAIで分析することにより、予兆検知・予防保守ができさらなる品質生産性向上が可能です。 

 

 3.  テクノロジー (IT部門の再編)

 テクノロジーは重要ではありますが、ビジネスモデルやオペレーションモデルを実現するためのイネーブラー(手段)になります。一方でテクノロジーはビジネスモデルやオペレーションを変革するドライバーにもなりえます。カスタマーへの製品やサービスの提供をするのに使うだけでなく、社内のプロセスも同時に改善できることが理想です。そのためにはIT部門とビジネス部門の在り方の見直しが急務です。

 さてこれで終わりではありません、デジタル変革を成功させるには、新時代のライフサイクル組織の見直し人材の活用も必要になってきます。それらについては次回(後編)の記事で解説します。

 

本稿のフルレポートは以下からダウンロードできます。

エンタープライズ デジタルディスラプションガイド

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作者について

Yoji_Inoue

Technology Evangelist, Composable Infrastructure, Software Defined Data Center and Cloud Technology Architect, Hyper Converged, Storage, Memory centric-Data driven computing, Specialist

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