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HPE最大のイベントDiscover 2017 LasVegasを3分で読み解く 2 ハイブリッドITとは?

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ハイブリッドといえば車ですね。電気自動車はまだ早い、でも確実に電気の時代は来る。今回のDiscoverのメッセージは「Your World Is Hybrid」つまり「世界はハイブリッドである」と言うことですが、当然ITもハイブリッドにしていく必要性があります。それがHybrid ITということなのですが、このHybrid IT、分かるようでわかりにくいのではないでしょうか?またハイブリッドクラウドと何が違うのかそんな疑問もわいてきます。今回はなぜハイブリッドなITが必要なのか、またハイブリッドクラウドとの違いについて解説してみたいと思います。  

ハイブリッド自動車はなぜ必要?

イギリス政府が2040年にガソリン車とディーゼル自動車の販売を禁止するニュースは話題になりましたが、実はイギリス以外にもフランス、ドイツ(2030年)、よくよく調べてみるとオランダやノルウェーでは2025年までに廃止するとしています。ここまで来ると世界中の自動車が電気自動車になることは間違いないと思われるのですが、では今すぐすべての車を電気自動車にできるかというと、それは現実的ではないですね。でも電気自動車への移行は進めていく必要がある、そこでハイブリッド自動車の登場となるのですが、なぜハイブリッド自動車が必要なのでしょうか? 大きな理由は以下のようなものがあるといわれています。

1.コスト
 電気自動車用の電池は各社がこぞって開発しているもののまだコスト高です。仮に走行に必要な電気代は安くなったとしても、それをためておく電池のコストが高ければ初期コストの差を、ランニングコストで取り返すのも時間がかかります。さらに電池には寿命があり、ある期間が来たら交換、そのコストもまたさらにかかるため、ガソリン車のほうが結果的に経済的になることのほうが多いようです。

2.技術
 上記のコストにも関連するのですが、電池の低コスト化、長寿命化、また充電時間の短縮等、実用までには解決すべき課題が多くあります。

3.インフラ
 かりに上記の課題が解決できたとしても、充電するインフラが整っていなければ遠出もできません。当然物流の輸送手段としても使えないですね。充電スポットの普及、さらに充電方式や充電するプラグ等、規格が乱立している状態ではインフラの設置も進められないと思います。せっかく充電しようと思ったら「プラグがはまらない!」なんてことは避けたいですしね。それを考えるとガソリンの給油口は世界共通ですね。それもある程度の時間をかけて淘汰されたのでしょうけれど。
 

  ITも同じで移行期間が必要

  ITの世界でもハイブリッドはいくつもあります。例えばストレージの分野では従来の回転ディスク(HDD)とフラッシュを搭載したSSD(Solid State Drive)が混在ができる「ハイブリッドストレージ」があります。最近よく聞くようになった「ハイブリッドクラウド」はパブリッククラウドと、オンプレのプライベートクラウド両方をセキュリティ、法規制、性能・可用性等の観点から上手に使い分けて使うという概念です。いずれにせよ、ハイブリッド自動車と同じで、「コスト」、「技術」、「インフラ」の3つの要素がそろうまでの過渡期にはITにもハイブリッドモデルが必要になるわけです。

以下の表は自動車にハイブリッドカーが必要な理由と、ITの世界でハイブリッドITが必要な理由を比較したものです。

EV Cloud comp.jpg

 それでは少しIT側の理由について解説してみましょう。

1.コスト
 10年くらい前はパブリッククラウド採用理由の第一位はコストの削減でした。ところが最近、パブリッククラウドは実は思ったほど安くないことを多くのユーザーが理解するようになりました。最初に気が付いたのはクラウド先進国、北米のユーザーで、今では多くの企業がハイブリッドクラウドに移行してきています。Drop Boxなどもそのよい例ですね。

2.技術
 性能と可用性に関してはオンプレ型に分があります。もちろんパブリッククラウド側にもHPC(High Performance Computing)サービスのような高性能なものもありますがまだ限定的ではないでしょうか。また計算するためのデータや、計算された結果のデータをオンプレで使いたい場合はクラウドまでの回線帯域がボトルネックとなり、
結局割高なストレージサービスを購入することになってしまうかもしれません。
 可用性については、本来一部が止まっても全体でカバーするような作りがクラウド型であるのに対して、「1秒たりとも停止はあり得ない」といったシステム、アプリケーションもいまだに存在します。このようなシステムを無理やりクラウド型にはめ込んでも、努力した割には結局コスト高、リスクも増えるといった結果になりかねません。

3.インフラ
 でも、もしも現在の数十倍、数百倍高速なネットワークインフラが、低コストで提供されるようになれば、上記のような問題も解決されるのかもしれませんね。ただし現段階ではまだまだ先の話です。通信インフラの進歩もパブリックに移行するタイミングを計る大きな判断材料となります。

  黄金ルールCARで判断する

  さてハイブリッドITが必要な理由をハイブリッド自動車の例を関連付けて説明してきましたが、パブリックとオンプレの利用バランス(Right Mix)を決めるうえで非常に役に立つ判断基準が3つあります。自動車を持ち出したからではないですが、私はこれをCARとして覚えています。このCARは以下の3つの頭文字です。

  • Cost      :トータルコストが下がること
     ポイントはトータルのコストであることです。上述しましたようにパブリッククラウドは短期的な利用ではコストメリットがありますが、「長期に利用する」、「データのやり取りが増える」、「低いレイテンシが求められる」、「データの増加率が読めない」、といった場合には注意が必要です。それらをきちんと計算に入れて、「ここまでの期間だったらパブリック、この数値を超えたらオンプレ」といったような基準を決めておくことが肝要です。 さらに最近ではオンプレでもパブリッククラウドのような従量課金ができて、リソースが足らなくなったとしてもすぐに不足分を補ってくれるサービス(HPEフレキシブルキャパシティ)もあり、オンプレでも遜色ない月額払い、即時の拡張性を提供できます。
  • Agility   :俊敏性が上がること
     
    俊敏性はこれからのビジネス、またそれを支えるITでより重要度が増してきます。金融商品ではないですが、どれだけ早く1つの処理を完了し、次の処理を開始できるかが重要になります。さらに新しいサービスを早く提供し、早くサービス拡張ができることが重要です。この辺りはパブリッククラウドが得意な分野と思われますが、一律のサービスを低コストで提供するのが基本のパブリッククラウドよりも、より早くサービスの提供、拡張ができるオンプレ製品もあります。HPE Synergyであれば、インフラのリソースプールから数分で仮想化環境を構築、さらにその仮想化環境から物理環境に変換するのも数分でできたりします。 
  • Risk   :リスクが下がること
     リスクの一つに事業継続があります。逆に考えるとダウンタイムがどれくらい短いかで計れます。オンプレの場合はあらかじめ可用性を決めてシステム構築できるのですが、パブリッククラウドの場合は可用性の高いサービスは選べないことが多いです。当然業務の自動化を行ううえでクラウドというのは優れているのですが、無理に従来型のインフラをクラウド化しても、結局長いテスト、修正を繰り返して期待されているサービスレベルまでとどかないケースもあります。特に開発者がすでに退職しているようなソフトウェアなどは、触らぬ神に何とやら、塩漬けにしたほうがリスクもコストも下がる可能性が高かったりします。このようなアプリケーションは長期的に利用することが多く、パブリックはもとより、オンプレのクラウドにも移行しない、従来型のインフラを継続していく道をとるのです。

「 ハイブリッドクラウド」ではなく「ハイブリッドIT」

最後に書きましたようにクラウドに移行できないインフラもまだまだ存在しますが、これを従来型で運用していくのはコスト的にも、人員的にも厳しいのは事実です。ですから従来型ITをサイロ化するのではなく、ハイブリッドクラウド管理モデルに統合していく必要があります。これを闇雲に実施しようとするとリスクが増えたり、コストが増えたり、俊敏性がそがれたりするものです。この従来型ITを最適に統合していくモデル、それがHPEが提唱するハイブリッドITなのです。

 

補足:パブリッククラウドの上手な使い方 (賞味期限に注意する)

 私がパブリッククラウドの向き不向きをざっくりと判断する時の基準は「クラウドと利用者間のデータのやり取りがどれくらいか」、また「保存するデータの増加量がどれくらいか(一つの基準として年率30%)」の2点です。前者はクラウドがあるデータセンターとユーザーサイト間の通信回線コストが目安となります。低帯域で低コストの回線で問題なければよいのですが、実際のデータのやり取りが増えた場合、サービスレベルが低下して結局高額な回線費用を払うことにもなりかねないからです。後者のデータ量の増加は結構注意しなければなりません。失敗例として、ある企業がIoTのセンサーデータの保存先をパブリッククラウドにしたところ、想定以上のデータ量になりかなり高額な費用を払うことになったことがあります。センサー自体がどんどん増えていくような場合、その増加量が予想困難な場合は単純に従量課金されることが多いパブリッククラウドのストレージサービスは気を付けたほうが良いでしょう。また多くのストレージサービスはクラウドにデータを預けるときは無償でも、引き出す時は結構な金額を課金されるケースもあるのでそこも注意点です。パブリッククラウドは「鮮度がある」期間限定の開発プラットフォーム等には非常に向いていますが、長期に利用する場合は3年なり5年なりの期間での振れ幅を考慮して正しい選択をしていきたいものです。

 

関連リンク

HPEハイブリッドITソリューション
https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/transform-hybrid.html

HPEコンポーザブル・インフラストラクチャ
https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/infrastructure/composable-infrastructure.html

HPE フレキシブルキャパシティ
https://www.hpe.com/jp/ja/services/flexible-capacity.html

 

 

 

 

 

 

 

 

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作者について

Yoji_Inoue

Technology Evangelist, Composable Infrastructure, Software Defined Data Center and Cloud Technology Architect, Hyper Converged, Storage, Memory centric-Data driven computing, Specialist