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HPE Gen10 サーバープラットフォームのパフォーマンス

前回、セキュリティーの観点から、HPE Gen10 サーバー プラットフォームの新機能についてご紹介をしました。今回は、パフォーマンスについてのお話しです。Gen10 では、新たにIntelligent System Tuning(IST)が搭載されました。Intelligent System Tuning はパフォーマンスに関連した、3つの新機能の総称です。これらの機能は、HPEで開発されたプロセッサ制御技術と、パフォーマンスチューニングのノウハウを活かして、ハードウェアレベルのシステムチューニングを自動で行います。Intelligent System TuningはWorkload Matching、Jitter Smoothing、Core Boostingの3つで構成されています。では、順に見ていきましょう。

 

iLO_5_Gen10_close.jpgWorkload Matching
Workload Matchingとは、サーバーのいわゆるBIOSの設定(ProLiantではRBSUと言います)を、あらかじめ用意されたプロファイルを使って自動的に設定する機能です。プロファイルの設定値はHPEのパフォーマンスエンジニアのノウハウを元にして作成されており、十数種のプロファイルから、用途に合ったものを選ぶだけで、ワークロードに適した設定を行う事ができます。この機能を使うと、用途に応じてBIOSの各種設定が自動的にセットされ、手動で変更することはできなくなります。(Custom を選択して自分で構成する事もできます)


HPEでは従来から、例えばHigh Performance Computing用途でご利用頂く際の、推奨設定値を記したホワイトペーパーを提供してきました。こういったドキュメントを利用して、手作業でチューニングを行って頂くのに比べ、遙かに手軽にサーバーを設定する事が可能となります。なお、Workload Matchingは、Gen10 サーバーでiLO5が搭載されたモデルであれば、iLO Advanced や iLO Advanced Premium Security Edition ライセンス無しでご利用頂けます。


この機能を使う上での注意点として、個々のプロファイルによって、一部の値が「編集可能」になっているという点があります。プロファイル上で編集可能になっている値は、そのプロファイルを適用した際に、既存の設定を保持します。つまり、工場出荷時の状態に対して、あるプロファイルを設定した時の設定値と、一旦他のプロファイルを設定したあとに別のプロファイルを設定した場合では、一部の設定値が異なる場合があるという事を意味します。大量のサーバーに対して、完全に同じ設定を行いたい場合などには、この点に注意をして下さい。

 

 

ist.pngJitter Smoothing
Jitter Smoothing(プロセッサのジッター制御)は、特にHigh Performance Computing の領域でサーバーを使われるお客様には、嬉しい機能です。逆に、例えばファイルサーバーのような用途では、その効果は実感されません。これは、インテル ターボブースト・テクノロジーを使用した際に、CPUの動作周波数が不安定になる(ジッターが発生する)事を抑える技術です。このようなジッターの影響は、ナノセコンドの精度が要求される高頻度金融取引などの世界では非常に大きなものです。


より高いCPU性能が求められるHigh Performance Computing の領域では、インテル ターボブースト・テクノロジーを使って、CPUの周波数を上げて利用したいニーズがあります。しかし、ターボブーストの使用時に発生する周波数の変化は、応答速度のばらつきを生むため、これを嫌ってターボブースト無しで運用するケースが有りました。


Jitter SmoothingではHPE自社開発のアルゴリズムにより、クロック周波数の時間的なズレや揺らぎを防ぎ、プロセッサを最適な周波数に制御することで、ターボブーストの恩恵を受けつつ、安定した性能を供給します。この機能を利用するためには、iLO Advanced もしくは iLO Advanced Premium Security Edition licenseの適用が必要です。

Core Boosting
Core boostingとは、CPUのクロック周波数を通常よりも高くすることで、より少ないコア数でより高いパフォーマンスを実現する機能です。この機能はHPEがインテル社と共同開発した新しいサーバーチューニング技術であり、インテル社の保証の元、高クロックでCPUを動作可能とする独自の機能です。
この機能を利用することで、より少ないコア数で高い性能を実現することが可能となり、特にコア課金モデルのソフトウェアライセンスのコストを効率化することができます。

なお、この機能は特定の構成のProLiant DL380 Gen10サーバーまたはApollo XL230K Gen10サーバーでのみ利用する事ができます。機器構成としてXeon Gold 6143 2.8GHz 1P16C CPUの使用、高性能のヒートシンクとファンの使用、およびiLO Advanced もしくは iLO Advanced Premium Security Edition licenseの適用が必要です。

 

 参考資料
Intelligent System Tuning については、英文になりますが詳しい資料がリリースされています。
HPE Gen10 Servers Intelligent System Tuning(英語PDF)

Workload Matching を使用した際の、設定値の詳細については、以下の資料をご覧下さい。
UEFI Workload-based Performance and Tuning Guide for HPE ProLiant Gen10 Servers and HPE Synergy(英語PDF)


Intelligent System Tuning を適材適所で使っていただき、Gen10サーバーをより効果的にご利用下さい。

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作者について

oikawas

HPEサーバー製品プリセールスです。