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MiwaTateoka

MicrosoftとHPE、エッジAIとAzureの機能を国際宇宙ステーションへ

国際宇宙ステーション (ISS) は、地上では不可能な研究やテクノロジー開発を可能にする唯一無二の実験室です。とはいえ、宇宙での通信には遅延や帯域幅制限、オンボードの処理能力の不足などのため、宇宙飛行士や科学者が得られる解析速度には限度があります。

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そこで、ヒューレット・パッカード エンタープライズとMicrosoftはNASAと共に、Spaceborne Computer-2 (SBC-2) を構築しました。小型の電子レンジほどの大きさのこのハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) システムは、商用 (COTS) コンポーネントを基盤とし、オープンソースソフトウェア上で実行されます。

 

HPE EdgelineコンバージドエッジシステムとHPE ProLiant DL360サーバーで構成されたこの新しいシステムは、従来のSBC-1の2倍のコンピューティング性能を持ち、NASAはエッジコンピューティングを活用して機械学習 (ML) などの人工知能 (AI) 処理を宇宙空間で実行できるようになりました。処理能力の拡張に加え、宇宙への打ち上げに耐える堅牢性も求められました。そこで、SBC-2は、石油/ガス精製所、製造工場、防衛など、地上の過酷なリモート環境を対象としたエッジコンピューティングテクノロジーを採用しています。

 

軌道上でAI/MLソフトウェアを実行できることで、解析のために地球に送り返すRAWデータが減少するため、研究者は宇宙空間でデータ処理を行ってより迅速に結果を得ることができます。SBC-2は、宇宙空間でデータを収集した時点で解析できる十分な処理能力を持つため、地球に転送するデータが減少し、より多くの科学実験に割り当てることができます。

 

しかし、より長時間を要する計算のデータを地球に送り返す必要がある場合、SBC-2の通信帯域幅は1週間に2時間、最大ダウンロード速度は250 KB/秒という制限があります。1週間あたりでは2 GBにも満たず、映画1本のダウンロードもできません。

 

ここで重要になるのがAzureクラウドへのバーストです。SCB-2は広大な世界規模のAzureクラウドネットワークに自動的にバーストして容量を必要に応じて増やすことができます。世界のあらゆる場所の科学者でも、165,000マイルの光ファイバーケーブルで結ばれた世界65地域のAzureデータセンターで同時稼働する数百万のコンピューターにアクセスできます。

 

SBC-2はオープンソースのソフトウェアを使用するため、開発者は宇宙ステーションで実行できるプログラムを簡単に構築できます。また、SBC-2はAzureとの接続に地上のコンピューターと同じオープンソースのツールや言語を使用するため、開発者は宇宙工学専用の高度なスキルがなくても、ISS用のアプリケーションを構築できます。

 

結果は驚くべきものでした。ひとつ例をあげましょう。地上のある研究者は、ISSからデータが届くまでに何か月もかかることに不満を覚えていましたが、SCB-2ではわずか6分でデータを処理し、2万分の1に圧縮したファイルをダウンロードできたのです。

 

今回の画期的な打ち上げの詳細はこちらをご覧ください。

StorageReviewのポッドキャストを見る:  HPE Spaceborne Computer-2、宇宙のスーパーコンピューター (英語)

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MiwaTateoka