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Oracle Linux KVM を使った Oracle Database のコスト削減方法

皆さん、こんにちは。
サーバー製品を担当しておりますHPEの坂井です。今回は弊社のデータベース担当エンジニアの滝谷さんよりOracle Databaseのコスト削減について解説いただきたいと思います。


HPE でプリセールスをしている滝谷です。

IT の世界でサーバーといえば、何らかのサービスを提供するコンピューターのことです。例えば WEB サーバーであれば、このコンテンツが見たいという要求を受けたら、必要なページの HTML ファイルを提供するコンピューターのことですよね。企業の中には様々な IT サービスが存在しますが、その IT サービスが重要になればなるほど、IT サービスを提供し続けるためにサーバーやその周りにいろいろな仕組みが必要になってきます。こういった IT サービスを提供し続けるために組み上げられたシステムを、高可用性システムあるいはミッションクリティカルなシステムと呼ぶことはすでに皆さんご存じの通りです。

 

■ Oracle Linux KVM を使った Oracle Database にかかるコスト削減方法

企業のミッションクリアなシステムではアプリケーションのひとつとしてデータベースが利用され、そのデータベースにオラクル社の Oracle Database Enterprise Edition(以降 Oracle Database EE)がよく利用されています。もちろん弊社の HPE Superdome サーバーあるいは HPE ProLiantサーバーどちらでも Oracle Database EE を動かすことが可能です。

ただし Oracle Database EE を物理サーバー上ではなく仮想サーバー上で利用する場合は、Oracle Database のライセンスがいくつ必要なのか、十分に確認する必要があります。その数が多くなるとコストが高くなってしまうので、できるだけコストを抑える工夫が必要になります。その工夫のひとつが、

「Oracle Linux KVM を使って Hard Partitioning を設定した仮想サーバーを作成し、その仮想サーバーで Oracle Database EE を動作させる」

です。

オンプレミスの環境で VMware や Hyper-V などの Oracle Linux KVM 以外の仮想環境で仮想サーバーを作成し、その仮想サーバー上で Oracle Database EE を動かすと、Oracle Database EE が動く可能性があるすべての物理サーバーに対してライセンスが必要となります。これに対して Oracle Linux KVM の仮想サーバーに Hard Partitioning の設定をし、その仮想サーバー上で Oracle Database EE を動かすと、その仮想サーバーに必要なライセンスだけですみます。これを利用してコストを抑えようというわけです。

図1 1.jpgなお Hard Partitioning はオラクル社による定義であり、1台の大きなサーバーを別々の小さな物理サーバーに分けたものとイメージするとわかりやすいかもしれません。Har d Partitioning の詳細についてはこちらを参照してください。

Partitioningガイド (Partitioning)(PDF)
https://www.oracle.com/jp/a/ocom/docs/partitioning-jp-168078-ja.pdf

 

■ Oracle Linux KVM の構成例

以下に構成例を示します。


図2.jpg

まずは Oracle Linux を動作させるサーバーを見つけます。弊社のサーバーであれば、以下の URL から簡単に見つけることができます。

Oracle Linux Support and Certification Matrix
https://www.hpe.com/us/en/collaterals/collateral.a50010894enw.html

ここで HPE Superdome サーバーと HPE ProLiant サーバーが同じように見えますが、実は HPE Superdome サーバーだとより安心材料があるという違いがあります。1つ目の安心材料は、HPE Superdome サーバーではどのカードが Oracle Linux でサポートされているか明確になっていることです。そして2つ目の安心材料は、弊社のミッションクリティカルのサーバー・チームが、サポートの支援に入ってくれる可能性があることです。必ずサポート支援をしてくれるというわけではありませんが、もし彼らが参加すればとても大きな力となってくれます。


次に仮想環境の構築、管理、監視を行う Oracle Linux Virtualization Manager を動かす物理サーバーあるいは仮想サーバーを別途用意します。運用管理を簡単にするため、Oracle Linux KVM が動くサーバーとは別のサーバーを用意するのがおすすめです。


仮想サーバーの Hard Partitiong 設定は、以下を参考にします。

Hard Partitioning with Oracle Linux KVM
https://www.oracle.com/a/ocom/docs/linux/ol-kvm-hard-partitioning.pdf


最後に Hard Partitioning を設定した仮想サーバーは、他の物理サーバーに移動させることができないため、複数の仮想サーバーで Oracle RAC あるいはクラスターソフトを利用したクラスター構成を考えます。

 

■ ミッションクリティカルなシステムを構成するサーバー

さてミッションクリティカルなシステムを考える時は、システム全体として考えることと、そのシステムを構成する各要素について考えるといった2つの面から考える必要がでてきます。例えば1台のサーバーが故障してしまったら別サーバーが肩代わりするような設計にしたり、セキュリティやソフトウェアのためにパッチを適用するメンテナンス時間を考慮するなどはシステム全体のお話。システムを構築するサーバーにはミッションクリティカルなシステムを構築するために必要な機能を搭載させるなどは構成要素についてのお話となります。

そんなミッションクリティカルなシステムですが、弊社のサーバーである HPE Superdome サーバー、HPE ProLiant サーバーは、どちらもその構成要素になりうります。では HPE Superdome サーバーと HPE ProLiant サーバーのような汎用サーバーとでは、何が同じで何が違うのでしょうか?


■ HPE Superdome と汎用サーバーの同じところ

HPE Superdome サーバーと汎用サーバーどちらのサーバーも x86 アーキテクチャーを採用しています。つまりいろいろなサービスを提供する好きなアプリケーション、そしてそのアプリケーションを動かすために必要な一般的な OS(Windows Server、Linux、Vmware)はどちらのサーバーでも問題なく動作するので、何も気にすることなく自分の使いたいアプリケーション、OS を利用することができます。

また画像描写、VDI、AI 推論、AI 学習などに力を発揮する GPU も、どちらのサーバーであっても搭載可能です。


図3.jpg

■ HPE Superdome と汎用サーバーの違うところ

HPE Superdome サーバーと汎用サーバーの違うところは、主に可用性と拡張性です。ミッションクリティカルなシステムに向けて強化した可用性の機能としては、障害が発生したカードを OS 再起動後に自動で切り離したり、障害情報を細かく保存したり、障害に対して推奨されるアクションを管理者に提示するなどがあります。


図4.jpg拡張性としては、最大搭載可能な CPU、メモリ、GPU 数が違います。このため HPE Superdome サーバーは筐体が大きくなり、多くのファンも搭載しています。


図5.jpg

■まとめ

いかがでしたでしょうか?Oracle Linux KVM を利用することで、Oracle Database EE にかかるコストを削減できる可能性をご理解いただけましたか?そしてミッションクリティカルなシステムに最適かつ Oracle Linux KVM に対しても安心材料がある HPE Superdome サーバーをちょっとだけ理解できたのではないでしょうか?Oracle Linux KVM と HPE Superdome サーバーを含めた弊社サーバーで、Oracle Database のコスト削減の可能性をぜひ一緒に考えさせてください。

 


※Oracle Database、Oracle Linux KVM、Oracle Linux は、Oracleおよび子会社、関連会社の登録商標です。


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作者について

KotaroS

日本ヒューレット・パッカード合同会社 ミッションクリティカルサーバー担当プリセールス