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Masazumi_Koga

コミュニティ版Linuxが稼働するARMサーバーの運用管理手法

筆者は、日本AlmaLinuxユーザー会(コミュニティ)の主幹メンバーをやっています。AlmaLinuxイベントで登壇したり、コミュニティイベントでのAlmaLinuxユーザー会のブースでサーバーを展示しています。

AlmaLinux初の公式イベントである「AlmaLinux Day Tokyo」でも登壇し、プレゼンは、動画で公開されているのですが、40分もあって長いので、以下では、忙しい方のために、要約をお伝えします。

■クラウドネイティブなIT基盤でARMサーバー採用

CloudNative.png・Google、Amazon、Microsoft、NVIDIA社などが、継続的にARMマシンを導入している

・「クラウドネイティブ=どこでもアプリが動く」というIT基盤でコンテナ技術の採用が増加

・クラウドネイティブのシステムでは、Webサービスで処理能力を確保しなければならないが、同時に、省電力化も重要

・増大するWebシステムの省力化に自動化技術を採用

 

 

■日本でのお客様事例

NTT_Data_Case_Study.png・カーボンニュートラルの取り組みを進める日本企業でメニーコアの省電力サーバーを検討

・既存のJavaプログラムをARMサーバーで稼働させて、性能を確保、かつ、省電力化を実証

・具体的な検証結果を公開

 

 

 

 

 

■遠隔管理

Remote_mgmt_with_iLO.png・ARMサーバーの「HPE ProLiant RL300 Gen11」に搭載の遠隔管理チップ「iLO 6」(アイロ)経由で、BIOS操作、OSのインストール、Linuxのデスクトップ画面操作がよく行われている

・普通のiLO 6なので、ARMサーバーでもx86サーバーと変わらない遠隔管理の操作感

・iLO 6の管理画面で、ARMサーバーの筐体の温度なども確認可能

 

 

 

 

■コミュニティ版OS(フリーOS)

Community_OS_on_HPE_Compute.png・日本ヒューレット・パッカードは、旧Compaq時代(1999年)から日本でLinuxの技術情報などを提供

・HPEが保守可能な動作認定Linux OSは、RHELとSLESのみ

・Rocky Linux、AlmaLinux、Ubuntu Serverは、ハードウェアベンダーの保守サポートがない(2025年1月時点)

・RHEL上で正式サポートされているベンダーの管理ソフトをAlmaLinux上で動作させて、なにか不具合があっても、ベンダーの保守サポートは受けられない

 

 

 

 

■HPEハードウェア監視ツール「OneView」(ワンビュー)

OneView.png・HPEアカウントでHPEサイトにログインし、ハードウェア監視ソフトのOneViewのVMイメージ(qcow2形式のファイル)をダウンロード可能なので、OneViewの導入は非常に簡単

・普通のLinux KVM仮想化環境で、ダウンロードしたOneViewのVMイメージ(qcow2形式のファイル)を登録・起動できる

・OneViewのVM1つで、Armサーバー「HPE ProLiant RL300 Gen11」やx86サーバーの消費電力などを時系列で監視

 

 

 

 

■コマンドラインでのARMサーバー管理

HW_mgmt_with_ilorest.png・Linuxで動くHPE提供の無償のilorest(アイロレスト)コマンドで遠隔のARMサーバーを管理

・CPU、メモリなどのハードウェア情報取得が可能

 

 

 

 

 

 

■コマンドラインで遠隔にあるサーバーの電源ON・OFF

PowerOnOff_with_ilorest.png

・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーの電源ON、電源OFFができる

・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーの電源がONかOFFかの状態も確認できる

 

 

 

 

 

 

 

■コマンドラインで機種名、BIOSバージョン、MACアドレスを知る

ServerName_and_BIOS_Ver_and_MACaddress_via_ilorest.png・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーの機種名、BIOSバージョン、MACアドレスを確認できる

・ARMサーバーで動作するilorestコマンドをARMサーバー上にインストールして、ローカルのARMサーバーで動作させることもできる

 

 

 

 

 

 

■コマンドラインで消費電力を知る

Power_Consumed.png・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーの電源容量(スライドでは800ワット)や現時点での消費電力(スライドでは、150ワット)を確認

・ARMサーバーで動作するilorestコマンドをARMサーバー上にインストールして、ローカルのARMサーバーでも電源容量や消費電力を確認できる

 

 

 

 

 

 

■コマンドラインで遠隔のARMサーバーのBIOS更新

BIOS_update_with_ilorest.png・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーのBIOSを更新できる

・BIOSを更新する場合は、事前にARMサーバーの電源をOFFにしておく

・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーのBIOSのバージョンを確認できる

 

 

 

 

 

 

■BIOS情報取得と設定変更

Get_BIOS_info_via_ilorest.png・ilorestコマンドで遠隔のARMサーバーのBIOS情報をJSON形式で入手できる

・入手したJSON形式のひな形を編集し、再びJSON形式の設定をARMサーバーに適用することで、BIOS設定を変更できる

 

 

 

 

 

 

■KVM仮想化への対応

Virt-Manager.png・x86マシンで稼働するKVM仮想化GUI管理ソフトの「Virt-Manager」で、遠隔にあるARMサーバー上のKVM仮想化エンジンでARM版VMを管理できる

・勿論、ARMサーバー上でローカルに稼働するVirt-ManagerもKVM仮想化エンジン上のARM版VMを管理できる

・ARMサーバーのローカルにインストールされたnmcliコマンドを使って、ブリッジを作成できる

・OS上で作成したブリッジにより、ARMサーバーのOSのネットワークとKVM仮想化エンジン上のVMのネットワークを同一LANセグメントに所属させることが可能

 

 

■ARMでのDockerコンテナ

Docker_on_ARM.png・ARMサーバー「HPE ProLiant RL300 Gen11」でもDockerエンジンは普通に動く

・ARM版Dockerエンジン上で、エミュレーションソフトを入れると、x86版バイナリのコンテナも動く(スライドでは、x86版httpd(Webサービス)をARM版Dockerエンジン環境で稼働させる様子)

 

 

 

 

 

 

以上で、「AlmaLinuxが稼働するARMサーバーでの運用管理」を簡単にお伝えしました。ARMサーバーの「HPE ProLiant RL300 Gen11」は、ARM社でも大規模に採用されており、ARMサーバーは、昨今のデータセンターの電力事情を改善する切り札になっています。

是非、コミュニティ版LinuxとARMサーバーで電力効率と運用性の高いIT基盤を検討してみてください。

KOGA MASAZUMI (@masazumi_koga)

【参考情報】HPE ProLiant RL300 Gen11(エイチピーイー・プロライアント・アールエル・さんびゃく・ジェンイレブン)

  • 1ソケットで128コアの3GHzの高速64ビットARMプロセッサ搭載!
  • x86サーバーと全く同じ遠隔管理チップiLO 6を搭載し、遠隔からの電源ON/OFF、遠隔からのBIOS操作、遠隔からのLinux OSインストール、遠隔からの温度、電力表示が可能!
  • Rocky Linux 9 for ARM、AlmaLinux 9 for ARM、Ubuntu Server 22.04 LTS、Ubuntu Server 24.04 LTSが普通にインストールできる!
  • DockerエンジンやLinux/KVM仮想化エンジンも普通に動く!
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作者について

Masazumi_Koga

Hewlett Packard Enterprise認定のオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストの古賀政純が技術情報や最新トピックなどをお届けします。保有認定資格:CCAH(Hadoop)/RHCE/RHCVA/Novell CLP/Red Hat OpenStack/EXIN Cloud/HP ASE DataCenter and Cloud等