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Yoshimi

ヒューレット・パッカード・エンタープライズが支える自動車業界のデファクト・スタンダード "IMDS " とは?

自動車業界における部品・材料情報の収集・分析プラットフォーム"International Material Data System (IMDS、「アイエムディーエス」)"をご存知でしょうか?ヒューレット・パッカード・エンタープライズのサービス部門であるエンタープライズサービス事業が開発・運用を担っているシステムの一つです。

155384126_xlarge.jpg欧米のOEM8社(Audi, BMW, Daimler Chrysler, Ford, Opel, Porsche, Volkswagen, Volvo) が中心となって開発した、環境負荷物質情報の管理システムで、アジア・アメリカ・欧州の、ほぼすべての自動車メーカーが採用しているシステムです。自動車部品のサプライヤーは無料で利用することが可能で、オンラインで登録すると、すぐに使い始めることができます。

欧州ELV(廃車)指令という法的義務への対応が、この仕掛けのそもそもの発端でした。この法令では、自動車1台にどんな材料が何グラム含まれているかを把握・報告せねばなりませんでした。

しかし、それらは自動車メーカーだけでは把握できず、サプライチェーンの川上から川下まで順番に情報を集めてくる必要がありました。このサプライチェーンはご想像に難くなく、世界規模かつ極めて複雑で、自動車の完成車メーカー("OEM"と呼ばれます。)からは直接見ることができませんでした。そこで、自動車業界が協調して、1998 年にプロジェクトが結成され、システムの構築・展開に着手し、2000年から運用・トレーニング・サプライヤー登録を開始しました。

こうして、インターネット上に情報を登録し、効率的かつ安全に川下へ受け渡していく仕組みが実現し、現在では、15万の企業が参加し、38万人が利用している、極めて巨大なサービスとなっています。

NewIMDSTrainingGuide_V8.0_20160418_rev1.01_履歴表無し(印刷版).pdf - Adobe Acrobat Pro.jpgIMDSには、

  1. プロセス・フォーマットの標準化を促進

  2. 入力ルールを共通化

  3. グローバルで利用可能

  4. 柔軟で強固なシステム基盤

  5. 充実したサポート体制

  6. 他団体との協調

    といった、特長があります。

     

IMDSTrainingGuide_V8.0_DataFlow.jpg自動車業界は、極めて広い産業構造を持っています。直接完成車メーカー(OEM)に部品を供給しているTier 1 サプライヤー、Tier 1 サプライヤーに部品を供給しているTier 2 サプライヤー、Tier 3, Tier 4...と多くの企業が自動車の製造に関連しています。

IMDSは、こうした企業間の材料データのやり取りを支えています。作業効率の向上や導入・運用コストの低減、あるいは、データ精度やセキュリティの担保などを提供し、自動車業界の材料情報収集・分析を、直接自動車を購入される方には見えない所で支えています。

センサー技術などの進歩によって、ますます裾野を広げる自動車業界。皆さんの乗っているクルマの設計・製造にヒューレット・パッカードエンタープライズが貢献していることを、少しでも知って頂けると幸いです。

IMDS の仕掛けを製造業全体でご利用いただけるように拡張した ”Compliance Data eXchange (CDX)” とHPEでの活用についても、追ってご紹介したいと存じます。

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作者について

Yoshimi

自動車・ハイテク業界の設計・開発業務向けの業務分析・アプリケーション開発を基軸に活動を開始し、現在、製造業向けサービス・情報活用エバンジェリスト/エンタープライズサービス事業統括 製造業向けビジネスデベロップメントとして活動しています。